ほっと一息

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2025.11.13

資産管理の法律ガイド 親族法について その27 養子縁組の解消①

JA広報通信2025年11月号

JA全中・JA全国相続相談・資産支援チーム 顧問弁護士●草薙一郎

 

 今回は、養子縁組の解消(養子が15歳未満の場合)の説明をします。

 養子縁組を解消することを「離縁」といいます。協議離縁(民法811条)と裁判上の離縁とがあり、裁判上の離縁には離縁調停と離縁訴訟とがあります。

 協議離縁の理由は縁組当事者間の合意があれば何でもいいのですが、離縁訴訟の場合には離縁の理由が法律で明示されています(民法814条)。
 協議離縁については、養子縁組のときと同様に役所へ届け出をしなければ、その効力は生じません。
 協議離縁ですが、養子が15歳未満であるときは、養親と養子の離縁後に養子の法定代理人(親権者)となるべき者との間で法定代理人を決める協議をすることになります。具体的には養子の実父母がなることが多いと思います。

 

 

 養子の実父母が離婚しているときは、実父母間において、一方を離縁後の親権者とする協議をする必要があり、もし、協議ができないときや協議が調わないときは、実父母または養親の請求によって家庭裁判所が協議に代わる審判をして、離縁後の法定代理人を決めることになります(同811条3項、4項)。また、法定代理人となるべき者がいない(例えば、実父母が死亡している)ときには、家庭裁判所は養子の親族その他利害関係人の請求で、養子の離縁後に未成年後見人となるべき者を選任することになり、この者が養親と離縁の協議をすることになります(同811条5項)。
 養親が夫婦の場合には、15歳未満の養子と離縁するには夫婦共に離縁の意思表示をする必要がありますが、一方が表示することができないときはこの限りではありません(同811条の2)。
 次回も離縁について説明します。