家庭菜園コーナー
2025.11.02
ベランダでも育てられる みんなのコンテナ菜園
JA広報通信2025年11月号
写真・文:園芸研究家●淡野一郎
ジャガイモ
種イモの準備は2月から
初心者でも手軽に収穫できる
原産地は標高3000〜4000mの高原地帯で、涼しい気温を好みます。日本では春や秋に栽培し、苦手な夏と冬はイモの姿でやり過ごします。
春は平均気温が10度の頃に出芽するよう、種イモはその20日ほど前に植え付けます。
この植え付けのさらに20~30日前に始めたいのが「浴光催芽(よくこうさいが)」です。イモに太陽光を当て、ずんぐりした芽を作ります。出芽や生育がそろい、病気予防にもなり収穫するイモの品質や収量が高まります。
出芽後10日ほど、土の中では種イモから伸びた茎の少し上の部分からイモになる茎(ストロン)が横に伸びてきます。さらに10日ほどでストロンの先にイモができ始めます。この2回のタイミングで土を足します。茎葉が黄変してから収穫すると品質の良いイモが採れます。

用途が広く、知名度抜群の早生品種「男爵芋」
【基本情報】
●分類:ナス科ナス属
●原産地:南米ベネズエラからアルゼンチン北部にかけての高原地帯
●萌芽適温(地温):15〜20度 ●生育適温(気温):15~20度
●日当たり:日なた/半日陰 ●好適pH:5.0~6.5
【病害虫情報】
アブラムシ類:ウイルス病などを媒介。早めに薬剤を散布し、発生前に収穫する。
ニジュウヤホシテントウ:背中に28個の黒い斑点のあるテントウムシ。5月中旬以降に増加。葉を食害する。
ジャガイモの栽培方法
1 浴光催芽と種イモの調整
浴光催芽の頃、外はまだ寒いので、処理は日当たりの良い室内で行う(写真1)。

60gを超える種イモは、植え付けの3~5日前に芽の集まった頂芽部分を中心に1片が30~60gになるよう縦に切り分ける(写真2)。

植え付け後に切り口から腐らないよう、切り口は乾かしコルク化させておく。
ポイント
60g未満の小粒の種イモを使えば、調整やそれによる病気の感染もなく便利。
2 種イモの植え付け
コンテナは、14L程度の市販の培養土の袋をそのまま使う。後で約15cm分の土(約6L)を足す(増し土)ので、その分の土はよけておく。
袋の底に水抜きのための穴を4、5カ所開け、口は縁を巻き下げる(写真3)。

次に植え穴を8~12cmの深さで掘り、そこへ化成肥料(NPK各成分8-8-8)約17gを入れる。周りの土を3cmほど戻し、土の表面からイモまでの深さが3~5cmになるよう種イモ1個を植え付け(写真4)、適宜水やりをする。

ポイント
種イモは頂芽が上に、切り分けた場合は切り口を下にして植え付ける。
3 増し土と追肥
出芽後10日で厚さ5cm分の土(約2L)を足し、ストロンが伸びるスペースを確保する。このとき、化成肥料(8-8-8)約7gを施しておく(写真5)。

さらに10日で縁を上げて厚さ10cm分の土(約4L)を足してイモが緑色になるのを防ぐ(写真6)。

ポイント
植え付け後20日ほどで土から芽が出始める。出芽後7日以内に元気の良い茎を3、4本残し、他は株元を手で押さえ引き抜く。
4 収穫
茎や葉が完全に黄色くなり、茎が倒れる頃、晴れた日に掘り出すことで、でんぷんが豊富で貯蔵性の高いイモが収穫できる(写真7)。

ポイント
収穫したイモは、半日ほど陰干しして、土を落とすと保存性が高まる。
※温暖地を基準に記事を作成しています。

写真©ICHIRO AWANO


