ほっと一息

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2025.08.25

資産管理の法律ガイド

JA広報通信2025年7月号

JA全中・JA全国相続相談・資産支援チーム 顧問弁護士●草薙一郎

 

親族法について その24

 

 今回は養子縁組の要件について説明します。
 前回、養子縁組が成立するには、親子になる意思と縁組届出の提出が必要なこと、20歳に達した者は養子を迎えることができると紹介しました。その他の要件は以下です。
 自分より年長者や尊属を養子とすることはできません。尊属とは、親族関係において基準となる人よりも前の世代に属する血族のことです。具体的には、父母や祖父母などの家系図で縦につながる直系尊属、叔父や叔母などの家系図で横につながる傍系尊属を指します。なお、養父母は直系尊属に当たり、自分の配偶者は尊属には当たりません。そのため自分の弟や妹を養子にすることは可能ですが、自分の兄や姉、おじ、おばを養子とすることはできません。
 後見人が被後見人を自分の養子とするためには、家庭裁判所の許可が必要です。そして、この許可は、後見人の任務が終了しても、管理計算処理が未了のときも必要です。
 配偶者がいる者が未成年者を養子としたい場合には、原則として配偶者と共に縁組をする必要があります。未成年者を養子として養育するのは夫婦でするのが望ましいとの考えによるものです。ただし、配偶者の嫡出である子を養子とするとき、または配偶者がその意思を表示することができないときは、例外として単独での養子縁組は可能です。いわゆる配偶者の連れ子を養子とする場合などが例外のケースになります。
 この例外は「配偶者の嫡出である子」を養子とするケースなので、いわゆる配偶者の連れ子が嫡出でない子の場合には、この例外のケースには該当せず、原則に戻って夫婦共同縁組をすることになります。自分の子を養子にする手続きをすることに違和感がありますが、条文上は夫婦共同縁組ということになります。
 次回は、配偶者のある者の養子縁組の続きとその他の養子縁組の要件の説明をします。