お知らせ

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2025.07.07

私の食育日記

JA広報通信2025年7月号

食育インストラクター●岡村麻純

五感で感じるおいしさ

 

 1歳の息子が、自分でご飯を食べたい真っ盛りです。しかしながら、まだ上手に食べることはできず、机の下は食べこぼしだらけ。お皿をひっくり返したり、スプーンを振り回して離れたソファにまでトマトが飛んだり、手づかみした豆腐が髪の毛にべったり付いていたりと、とにかく毎食、大変なことになっています。親がスプーンで与えてしまえば子ども自身も周囲もさほど汚さずに食べさせることができますが、実は、この自分の手で食べるという行為が、その後の食への関心や意欲につながっていきます。

 

 おいしさは、舌で感じる味だけで判断しているのではなく、五感全てを使用しています。きれいに盛られていると食べたい気持ちがそそられる視覚、こんがりと焼けたいい匂いでおいしさを感じる嗅覚、ジュージューと焼ける音に思わず唾をのみ込んでしまう聴覚、そして、ふわふわのパンに感動する触感からの食感。味を含めたこれら全てが合わさって人はおいしいと感じています。離乳食のこの時期に、単に口に運ばれただけの食事ではなく、思う存分自分の手で触り、食材の感触や匂いなど、五感全てを使ってしっかりとおいしいを感じることで、食への関心が育まれます。

 

 おいしいは五感で感じるものなので、調理方法で匂いや見た目を変えてみる、切り方や軟らかさを工夫して食感に変化を加えてみる、それだけで苦手な食材も子どもは食べられるようになることもあります。

 

 離乳食後期のこの時期だけは、これが学びであると割り切って、好きなだけ自分で食べさせてあげることにしています。約束事として、いただきますからごちそうさままでの食べている間は必ず席に座っていること、口に運ぶのではなく遊ぶだけになったらごちそうさまにすること。この二つだけは守って、後は楽しく全身でおいしいを感じてもらいたいと思っています。

 

 

 

 

岡村 麻純(おかむら ますみ)
タレント・食育インストラクター
お茶の水女子大学食物科学講座卒業
大学では食育をテーマに研究
男女3児の母