お知らせ

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2025.02.26

資産管理の法律ガイド

JA広報通信2025年2月号

JA全中・JAまちづくり情報センター 顧問弁護士●草薙一郎

親族法について その18

 

 今回は嫡出否認の出訴期間について説明します。
 従前は、夫は子の出生を知ったときから1年以内に嫡出否認の訴えを申し立てなければいけませんでした。今回の改正では、嫡出否認の訴えは父が子の出生を知ったときから3年以内に提起することとされました。期間が伸長されたのは、1年では子の成長から自分の子と疑うには期間が短いことなどがその理由とされています。

 

 前回の説明で、嫡出否認が子、母、前夫にも認められることになったと述べました。子や母については子の出生のときから、前夫については子の出生を知ったときから、それぞれ出訴期間が3年とされることになりました。

 

 前夫については、その他、子が成年に達した後は、嫡出否認の申し立てはできなくなっています。また、前夫が嫡出否認をすることが子の利益を害するときはできないとされています。

 

 子については、出訴期間の特例が認められています。子と父との同居期間が短いときには、父子としての社会的実態はないといえます。しかし、子が嫡出否認を提訴するのは母が代理するしかないのですが、母がこれを行使していないときは、子は嫡出否認を提訴する方法がありません。そこで、社会的実態のないケースの父子関係について、成長した子の意思を尊重することとし、子は21歳に達するまでの間、父子の同居が3年を下回るときには、子は特別に嫡出否認の提起ができることとなりました。ただし、同居は短くても、父が養育費を支払い続けていたなど、父による養育状況に照らして父の利益を著しく害するときはできないとされました。

 

 次回は認知について説明します。