ほっと一息

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2025.01.16

介護ハンドブック

JA広報通信2025年1月号

介護者メンタルケア協会代表●橋中今日子

介護者である皆さんの情報も積極的に伝えよう

 

 介護の環境は千差万別です。仕事をしながら複数人の介護をしている人や、子育てと介護を同時に担うダブルケアの状態の人、介護者自身が病を抱え、治療をしながら介護に当たっているケースもあります。

 

■ 毎週末の通い介護で体力の限界が

 Yさん(女性・50代)は、認知症の母親と障害のある兄のサポートのために、毎週末実家へ通うようになって7年になります。実家にいる間は、洗濯や掃除、食材の補充といった家事支援をしています。また、月に数度は平日に休暇を取り、ケアマネジャーへの相談や制度の申請、手続きも行います。自宅に戻っても、ケアマネジャーやデイサービスの担当者から緊急連絡があり、再び実家に赴くこともしばしばです。半年ほど前から、Yさんは実家から戻ると次の日の朝起きられず、仕事にも影響が出るようになりました。

 

■ 自分の状況を伝えて適した介護環境に

 実はYさんは数年前に難病を患い、今も通院中です。薬の影響で長時間の運転がつらく、食事が喉を通らない日もあります。また、介護を優先して通院をたびたび延ばすため、主治医から治療に消極的だと思われてしまっているようでした。しかし、Yさんは「自分の病気は介護には関係ない」と、支援者の誰にも話していませんでした。私は、すぐにケアマネジャーに病気のことと体力の限界が来ていることを伝えるようアドバイスしました。Yさんはためらっておられましたが、意を決して打ち明けたところ「そうだったんですね! 負担を減らすためにケアプランを変えましょう」と、親身に状況を聞き、休息と治療を優先するよう背中を押してくれたそうです。
 

 

ケアマネジャーなどの支援者の立場からすると、介護者である皆さんの状況は、介護環境を整える上で大切な情報です。「仕事を続けたい」「結婚を控えている」などと伝えることで、より適した介護環境を構築できます。1人で解決しようとせず、ケアマネジャーに相談してください。