家庭菜園コーナー

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あなたもチャレンジ! 家庭菜園 ナス

JA広報通信2025年1月号

園芸研究家●成松次郎

ナス 長い期間の収穫を楽しむ

 ナスのふるさとは、日照量が多く高温のインドです。夏の酷暑でも適切な管理を行えば、夏から秋まで長く収穫を楽しめます。煮る、焼く、揚げる、漬けると用途は多様です。「ナス紺」と呼ばれる色素はアントシアニンの一種で、活性酸素を抑制し、血管をきれいにする効果があります。

 

[品種] 長卵形の「千両二号」(タキイ種苗)、長形の「筑陽」(タキイ種苗)、また地方には在来品種の小ナス、丸ナス、水ナスなど多様な品種があります。

 

[苗の選び方] ナスの育苗期間は2カ月程度と長いため、苗の購入が便利で、特に土壌病害の青枯病を予防するためには、接ぎ木苗がお薦めです。良い苗は、①本葉が7~9枚ほどで、双葉が残っている ②幹が太くて、全体的にずんぐりしている ③葉脈は鮮やかな紫色 ④1番花、あるいはそのつぼみが付いている ⑤根はポットの底から出そうなくらい、しっかり張っているものです。なお、市販苗が若苗の場合は、一回り大きいポットで1番花が咲くまで育てましょう。

 

 

[畑の準備] 植え付け2週間前に1平方m当たり苦土石灰100gをまいて耕しておきます。1週間前に幅100~120cmの栽培床を作り、中央に深さ20cmの溝を掘り、溝1m当たり化成肥料(NPK各成分10%程度)200gと堆肥2、3kgを施し、よく混ぜておきます(図1)。

 

 

[植え付け] 中間地では遅霜の恐れのないゴールデンウイークが適期で、1条植えでは株間60cmとし、ポリフィルムでマルチをして地温を上げておきます。

 

[誘引・整枝] 植え付けと同時に仮支柱を斜めに挿し、株を支えます。1番花の下から出る勢いの良い2本の側枝を残し、他はかき取ります(3本仕立て)。その後、1m以上の支柱2、3本を交差させて固定します(図2)。

 

[追肥・灌水(かんすい)] 収穫が始まる頃からマルチフィルムの裾をめくって、1平方m当たり化成肥料50g程度を株元にまき、土寄せします。その後、2週間置きに畝の裾に同量を収穫中休みなく与えます。草勢の判断目安は、健全な花は花柱(雌しべ)がやく(雄しべ)の上に出ている状態です(図3)。また、みずみずしいナスを採るには、十分な灌水が必要で、特に高温乾燥期には毎日灌水します。

 

[更新剪定(せんてい)]中間地では盛夏(7月中旬~8月上旬)になると、枝が込み合い、葉が茂って果実への日当たりが悪くなってきます。この頃に全体の3分の1~2分の1の枝を切り詰める剪定を行い、追肥をして十分な灌水をします(図4)。約1カ月後に良い秋ナスが収穫できます。

 

[病害虫防除]アブラムシ類、ハダニ類にはマラソン乳剤など、テントウムシダマシにはスミチオン乳剤などで防除基準に従って防除します。

 

[収穫] 開花後20日程度のつやのある若い果実を収穫します。

 

 

※関東南部以西の平たん地を基準に記事を作成しています。