ほっと一息
2024.12.30
資金管理の法律ガイド
JA広報通信2024年12月号
JA全中・JAまちづくり情報センター 顧問弁護士●草薙一郎
親族法について その16
前回、嫡出推定に関する説明をしましたが、この問題について、今回は法改正の視点からの説明を再度してみたいと思います。
令和4年12月に親子法制が改正されました。
改正前は、婚姻中に懐胎した子は夫の子と推定するとの大原則の下、婚姻200日後に生まれた子および婚姻解消後300日以内に生まれた子は、夫の子と推定されていました。
そして、女性は嫡出の推定の重複を回避するために、婚姻解消後100日間は再婚できないとされていました。そのため、女性が婚姻を解消して300日以内に生まれた子は、改正前の規定では前夫の子と推定されていました。
そうなると、婚姻解消から300日以内に出産した子が前夫の子でない場合、前夫の子とされることを避けるため、出生届を女性が提出しないという状況が生じ、子が無戸籍となってしまうことがありました。
こういう状況を避けるため、婚姻中に懐胎した子に加えて、婚姻後200日以内に生まれた子は夫の子と推定し、婚姻解消から300日以内に生まれた子も、母が再婚していれば再婚後の夫の子と推定されることになりました(母が再婚していないときは前夫の子と推定されます)。
この改正に伴い、女性の再婚は婚姻解消から100日間はできないとの規定は廃止されました。
この結果、無戸籍の問題は解消になるのですが、婚姻解消から300日以内に生まれた子は、母が再婚していれば再婚後の夫の子と推定されることから、次回、説明しますが、嫡出否認の主張ができる者の範囲が法改正され、拡大されることとなりました。
なお、この嫡出推定規定の改正は令和6年4月1日以後に生まれた子に適用されます。