ほっと一息

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2024.07.28

トラブル回避の基礎知識 食べ物に似ているせっけんや入浴剤

JA広報通信2010年8月号

国民生活センター 相談部●小坂潤子

 

 せっけんや入浴剤をお菓子や飲み物と間違えて食べたり飲んだりしてしまう事故が起きています。

【事例1】当事者80歳代女性  結婚式で花嫁から手渡されたキャンディーを姑にあげた。一口食べて「ウッ」と言ったのでよく見るとせっけんと書いてあった。医者の指示で牛乳と下剤を飲ませて事なきを得たが、しばらく「口の中がヒリヒリする」と言っていた。

【事例2】当事者50歳代女性  粗品の袋においしそうな果物の絵が描かれていたので、粉末ジュースだと思い、コップに入れ水を加えてストローで飲んだ。塩辛い味がしたので袋の裏側を見たら赤字で「食べられません」と書いてあり、入浴剤だった。口がネバネバして気持ちが悪かった。商品名が英語で書かれていて分からなかった。

 

 

 

 こうした事例のように、せっけんや入浴剤の中には、形や色、大きさ、香り、包装などを食品に似せて、意外性を楽しむように作られているものがあります。よくできているほど価値があり、最近ではちょっとしたプレゼントとしても人気です。

 しかし、このような商品があることを知らない人もおり「食べられません」という表示があっても、気づかずに食べたり飲んだりしてしまう場合があります。特に年齢を重ねると思い込みが激しくなる傾向があり、食品と思いやすくなります。

 せっけんや入浴剤は、少量なら摂取しても、体への影響はほとんどなく、気持ち悪いぐらいで済みます。しかし高齢者の場合、ちょっとした事故をきっかけに体調不良になることがあり、注意が必要です。

 人にあげるときは、食べ物ではないことをはっきり伝え、高齢者がいる家庭に贈る場合は特に配慮をしましょう。

 一方、自ら買ってきたときには、ほかの人が食品と間違わないよう、保管には注意して事故を防ぎましょう。