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2024.06.23

知って納得! 税金講座 相続税の納税猶予の改正

JA広報通信2009年6月号

JA全中・JAまちづくり情報センター 顧問税理士●柴原 一

 

 農地等を相続した相続人が農業を継続する場合には、農地等の価格のうち農業投資価格(通常の評価額より大幅に低くなっています)を超える部分に対応する相続税については、一定の要件の下に、納税猶予期限までその納税が猶予されるとともに、納税猶予期限まで猶予された相続税は、原則として免除されます。ここでいう納税猶予期限は、次のうちいずれか早い日となります。

(1)その農業相続人が死亡した場合には、その死亡の日

(2)その農業相続人が、その農地等について贈与税の納税猶予が認められる生前一括贈与をした場合には、原則としてその贈与があった日

(3)その相続税の申告期限後20年間農業を継続した場合には、その20年目の日

 今回の改正では、市街化区域外農地について、新たに相続税の納税猶予を受ける時は、(3)の規定を受けることができなくなりました。つまり、原則として終身営農が義務づけられます。ただし、改正前から納税猶予を受けている場合には、(3)の規定が生きていますので、申告期限から20年経過すれば猶予税額は免除されます。一方、三大都市圏の特定市以外の市街化区域農地では、今まで通り(3)の規定の適用があります。

 また、特例適用農地を譲渡等した場合の利子税の税率が、年6.6%から年3.6%になります。ただし、市街化区域外農地等について納税猶予の特例を受けており、(3)により猶予税額が免除される者に対する利子税は改正前の税率となります。

 なお、「日本銀行の基準割引率+4%」で計算された率が7.3%に満たない時は、利子税の税率に7.3%のうちに「日本銀行の基準割引率+4%」が占める割合を乗じた率となります。この計算に使う日本銀行の基準割引率は、前年の11月30日現在のものとなります。

 今回の改正は「農地法等の一部を改正する法律」の施行日以降から適用されます。