ほっと一息

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2024.07.15

健康百科 お年寄りと熱中症

JA広報通信2009年6月号

佐久総合病院名誉院長●松島松翠

 

 夏は「熱中症」に注意が必要です。特にお年寄りは屋外だけでなく、室内にいるときも熱中症を起こしやすく、症状が重くなりがちです。暑いとき少しでも体調がおかしいと感じたら、熱中症を考えてみてください。

 熱中症は、次の3段階に症状が分けられます。軽度のⅠ度では、めまい、立ちくらみ、こむら返り。中程度のⅡ度では、頭痛、吐き気、体のだるさ、重症化したⅢ度では、ふらつき、立てない状態、意識障害などが起こります。必ずしもこの順番に起こるのではなく、発症したときに、すでにⅡ度、あるいはⅢ度になっている場合がよくあります。

 では、どうしてお年寄りは熱中症を起こしやすいのでしょう。原因としては、体温調節機能の低下が挙げられます。暑いときには末梢(まっしょう)の血管を拡張させて体温を調節するのですが、その働きが低下しているためです。

 さらに、筋肉や血流量の減少により、体全体が慢性的な水分不足の状態になっています。また、暑さやのどの渇きを感じにくいので、暑さへの対処や水分補給が遅れがちになります。

 これらの予防法は、まず室内が高温多湿にならないよう、換気などに気を配ります。そして外出時には、通気性や吸水性の良い衣服を着て、全周につばのついた帽子や日傘で直射日光を遮りましょう。

 のどが渇いたと感じたときには、すでに脱水状態になっている可能性もあるので要注意です。のどの渇きを感じなくても、小まめに水分や塩分を補給することが大切なので、スポーツドリンクなどを飲むのが適しています。

 この場合、アルコール飲料やカフェインを含む飲み物には、利尿作用があるので水分補給には向いていません。お年寄りの場合は、睡眠中に熱中症を起こすこともあるので、寝る前にも水分の補給をしましょう。