ほっと一息
2024.07.07
野菜のルーツ 世界三大穀物の一つ――トウモロコシ(イネ科)
JA広報通信2009年6月号
植物ライター ●岡田比呂実
熱々のゆでトウモロコシや、屋台で香ばしい香りを放つ焼きトウモロコシ。夏休みの食卓や、祭りの光景と共に思い出す人も多いかもしれません。冷凍物や缶詰ならいつでもありますが、もぎたてのおいしさは、何といっても夏の味覚です。
トウモロコシは、米、麦と並ぶ世界三大穀物の一つ。原産地は熱帯アメリカと推定され、南北アメリカ大陸では非常に古い時代から栽培されてきた重要な作物です。
野生種から栽培化された時代や地域には諸説ありますが、紀元前2000年より以前に、メキシコやペルー辺りで栽培されるようになったと考えられています。
ヨーロッパへの渡来は1493年。コロンブスがスペインに持ち帰ったのが最初だそうです。その後フランス、イタリアなどヨーロッパ各地や、北アフリカに伝わり、17世紀までにはアフリカ各地に広まりました。
日本へは1579年にポルトガル人によってもたらされました。その後、明治初年(1868年)にアメリカから再導入され、北海道で盛んに栽培されるようになったといいます。
品種はその特性により、デント種、フリント種、ポップ種、スイート種などに大別されます。スイート種は、未熟な状態で収穫する甘味の強いタイプ。野菜として日本の食卓に上るものや、缶詰のコーンはみんなこのタイプです。国内で生産されるのもほとんどがスイート種。より甘さの強い好品種が年々増えています。
スイート種は鮮度が命。葉で合成された糖分が実に運び込まれてでんぷんに変わるのですが、もぎ取られたあとは糖分の流入がなくなるため、時間と共に徐々に甘味が薄れてしまうのです。
スイート種以外は主に飼料や食品加工用で、海外から毎年大量に輸入されています。