ほっと一息

ほっと一息

2024.04.07

SLEEP WELL FOR GOOD HEALTH  健康快眠講座

JA広報通信2024年3月号

イラスト:ゆきたけし

 

 私たちは人生の3分の1を眠って過ごします。実はこの睡眠の質が健康を左右する鍵を握っています。睡眠と健康との関係、快眠のポイントを解説します。

 

 

1 現代人の睡眠傾向

 現代は仕事や勉強、インターネット利用などによる夜型の生活などで、睡眠不足になりがちです。それに伴い、不眠症や睡眠時無呼吸症候群、過眠症などの睡眠障害を抱える人も増加しています。女性の睡眠時間の短さや、子どもたちの睡眠不足が学習能力や情緒形成に与える悪影響も懸念されています。日中強い眠気に襲われると、社会生活にも支障を来すため、ひどくなる前に治療を始めましょう。

 

 

2 睡眠と覚醒のリズム

 規則正しい生活を送ると、一定の時刻に眠気が起こり、朝も同じ時刻に自然と目が覚めます。寝入る前、脳の温度が低下し、体内時計ホルモンが分泌を始め入眠を促します。朝方になると覚醒作用を持つ副腎皮質ホルモンの分泌が始まり、脳の温度が自然に高くなります。このように自律神経やホルモンなどさまざまな体の機能が働き、睡眠のリズムがつくられて、質の高い睡眠を維持できるよう心がけましょう。

 

 

 

3 浅い眠りと深い眠り

 私たちの睡眠には、夢を見る浅い眠りの「レム睡眠」と、大脳を休める深い眠りの「ノンレム睡眠」という2種類があります。成人の睡眠はこの2つが約90分周期で入れ替わります。シニア世代はノンレム睡眠が減ってレム睡眠が増え、尿意やちょっとした物音でも目が覚めるようになりがちです。朝方に目が覚めて二度寝ができないときは、床から出て朝の時間を有意義に使いましょう。

 

 

 

4 上向き寝でリラックス

 寝るときの姿勢は上向きがお勧めです。体に余分な力が入らず、最もリラックスした状態で眠れます。睡眠中に寝返りを打って横向きやうつ伏せになることがありますが、寝返りは体の同じ部位が圧迫され続けて血液循環が滞ることを防ぎ、体の負担を和らげるための自然な動きです。体温調節や寝床内の温度や湿度を調節する働きもあります。

 

 

5 食事と睡眠~これはNG!

 毎日規則正しく食事を取り、体内時計を整えましょう。特に朝食は大切で、エネルギー不足で日中の活動量が下がれば、夜の睡眠にも影響します。就寝に近い時間の夕食や夜食も消化活動によって睡眠を妨げてしまいます。コーヒー・緑茶・チョコレートなどカフェインが含まれる飲食物は覚醒作用があるので、就寝の5、6時間前からは控えましょう。

 

 

6 寝付きの効果を上げる入浴

 入浴は就寝2~3時間前が理想です。入浴は就寝前に体温を一時的に上げる効果があります。入浴によって体温が0.5度上がるだけでも、寝付きが良くなるといわれています。38度のぬるめのお湯で25~30分、42度の熱めのお湯なら5分程度がお勧め。約40度のお湯で30分ほどの半身浴も効果が認められています。

 

 

7 夕方の運動習慣で深い眠りに

 運動習慣がある人には不眠が少ないことが分かっています。夕方から夜(就寝の3時間程度前)に、速足の散歩や軽めのランニングなどの運動をしましょう。習慣的に続けると、寝付きが良くなり、深い睡眠が得られるようになります。ただし、就寝直前の運動は体を興奮させてしまうので避けましょう。

 

 

 

8 昼の過ごし方も大切

 昼間に明るい光を浴びると体内時計を調節でき、よく眠るために重要なメラトニンというホルモンが増えることが知られています。また、15分程度の昼寝は午後の眠気を解消し活力を与えてくれます。シニア世代は30分程度の昼寝をすると、夕方のうたた寝が減少し、夜によく眠れるようになるといわれています。

 

 

 良い睡眠習慣を身に付けて十分な休養を取り、毎日を健康に過ごしたいですね。

 

 

参考:厚生労働省ホームページe-ヘルスネット「健やかな睡眠と休養」より