ほっと一息

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2024.03.08

日本が生んだ食の芸術品 和牛入門

JA広報通信2024年2月号

イラスト:服部新一郎

柔らかい肉質と繊細で芳醇(ほうじゅん)な味わいが魅力の「和牛」。
そのおいしさの秘密、肥育方法、各部位の特徴などをご紹介します。

 

和牛はどうしておいしいの?

 和牛のおいしさの秘密は、「霜降り※1」と呼ばれる肉質が醸し出す、とろけるような食感にあります。また、和牛には「和牛香」と呼ばれる甘くてこくのある特有の香りがあり、これが肉本来のおいしさをさらに引き立てています。
※1 霜が地面に降りたように、肉の筋線維に網の目状の脂肪(サシ)が入った状態のこと

 

和牛を育てる環境とは?

 和牛は、考え抜かれた稲・わら・麦・ふすまなどの餌、デリケートな牛にストレスを与えないように常に清潔に保たれた牛舎など、行き届いた環境の下で肥育されています。一頭一頭丁寧に育てているからこそ、他にはない優れた品質を作り出せるのです。

 

和牛と国産牛はどう違う?

 和牛は国産牛と一見同じだと思われがちですが、明確な違いがあります。国産牛とは日本国内で飼育されている牛のことで原産地を表し、外国生まれでも日本での飼育期間が長ければ、国産牛と表示してよいことになっています。その一方で、和牛とは、「黒毛和種」「褐毛(あかげ)和種」「日本短角種」「無角和種」と、これら4品種間の交雑種のことで、品種を表します。図のように和牛も国産牛ではありますが、その品質は圧倒的に優れているため、わざわざ国産牛と表示することはありません。

 

牛肉は4つに分類できます

和牛
乳用牛
乳牛に和牛を交雑したもの
F1(交配種・交雑種)
外国種(肉専用種)

 

和牛とは以下の品種を表します

①黒毛和種
全国で飼育されていて、和牛の約95%を占める
②褐毛(あかげ)和種
「あか牛」とも呼ばれる。主に熊本県で飼育されている
③日本単角種
赤身が多いのが特徴。主に岩手県や北海道で飼育されている
④無角和種
その名の通り角のない牛。山口県でのみ飼育されている
⑤上記4品種間の交雑種

 

和牛の部位を知る 小売り表示では11の部位があります

①ネック
よく運動をする首回りの部分で、きめが粗くて肉質は硬く、エキス分やゼラチン質が豊富。

②かたロース
ロース部位の「かた」に当たる部分。きめが細かく柔らかい、優れた肉質を持つ最高部位の一つ。

③かた(うで)
よく運動をする筋肉の集まりで、きめが粗くて肉質は硬く、ネックと同様にエキス分やゼラチン質が豊富。

④リブロース
通常「ロース」と呼ばれる、見事な霜降り状の断面になる最高部位の一つ。

⑤サーロイン
きめが細かく柔らかい最高の肉質を持つ。「サーロインステーキ」としても有名な、ステーキに適した部位。

⑥ヒレ
全体の約3%しか取れない希少部位。ほとんど運動をしない筋肉のため、非常に柔らかいのが特徴。

⑦かたばら・ともばら 
おなか(あばら)回りの部位。肩に近いほど赤身が多く、おなか付近の「ともばら」は霜降りになりやすい。

⑧うちもも・しんたま
脂肪が少ない赤身中心の部位。特に「しんたま」は柔らかい肉質が特徴となっている。

⑨そともも
もも系の中では最も運動量が多い筋肉なので、きめが粗く肉質は硬いのが特徴。

⑩ランプ
「サーロイン」の隣に位置し、ロイン系※2に次ぐ準高級の部位。「らんいち」「らむ」とも呼ばれる。

⑪すね(まえずね、ともずね)
ふくらはぎ付近の部位。前脚は「まえずね」、後ろ脚は「ともずね」と呼ぶ。肉質は硬めで腱(けん)が多い。

※2 牛の背中から腰にかけての最高部位で「4.リブロース」「5.サーロイン」「6.ヒレ」から構成される

和牛Q A

Q1 「A5」など牛肉の格付け(ランク)を表す記号の意味は?

A1 

牛肉の格付け (ランク) は、歩留まり等級A・B・Cと肉質等級5・4・3・2・1の組み合わせで表現され、15段階あります。A5が15段階中の最上級ランクです。ちなみに歩留まりは牛1頭からどれくらいの肉が取れるかを意味し、肉質は「脂肪交雑(霜降り状態)」「肉の色沢」「肉の締まりときめ」「脂肪の色沢と質」の4つで評価されます。

 

Q2 細切れと切り落としの違いは?

A2
「細切れ」は不特定部位、「切り落とし」は特定の部位の切れ端を集めた肉です。細切れは、焼きそばや野菜炒めなど、切り落としはすき焼きやしゃぶしゃぶなどに使用されています。

 

参照:「お肉Q&A」改訂版(全国食肉事業協同組合連合会)https://www.ajmic.or.jp/shouhisha/qa/

 「和牛肉の製品ガイドブック」(農林水産省)https://www.maff.go.jp/j/chikusan/shokuniku/wagyu_guide_top.html