ほっと一息

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2024.03.09

永山久夫の健康万歳! ナバナはビタミンCが豊富

JA広報通信2024年2月号

食文化史研究家・日本の長寿食研究家●永山久夫

 

 季節の変わり目にはとかく体調を崩しがちです。それを防ぐために、日本人は季節を先取りする意味で、春だったら春に先駆けて芽を出したり、花を付ける若菜や野菜を食べて、体のコンディションを整えてきました。

 その一つが、寒気が緩み始めるとスーパーなどに出回るナバナです。「菜の花」のことで、アブラナの若いつぼみを中心に摘んだものです。

 ナバナはいかにも季節感を大切にする日本人らしい呼び方ですが、ほろ苦さの中にかすかな甘みがあって、春先の若野菜らしい独特のおいしさが楽しめます。

 ナバナで驚くのはビタミンCの多さで、ホウレンソウの3倍以上も含まれているのです。ビタミンCというと、お肌の染みを防いだり、風邪からがんまで予防するビタミンとしても注目されていますが、体細胞の酸化、つまり老化を防いだり、ウイルスに対する免疫力を強化する働きまであるのです。

 ストレスに弱い人は、ビタミンCが不足しているのかもしれません。ストレスを跳ね返すホルモンの生成には、ビタミンCが欠かせないからです。

 もう一つは、ビタミンCをコンスタントに取っている人ほど不老長寿という研究もあり、ナバナは「人生100年時代」の理想食といっても良いでしょう。

 春に増える紫外線の害から健康をガードするベータカロテンも豊富。さらに若返り作用のビタミンEや骨を丈夫にするカルシウムやビタミンKまで含まれています。

 食べ方も簡単で、ゆでておひたしに。かつお節をかけるとタンパク質も一緒に取れて素朴なおいしさに。あえ物にしても美味。ほろっとした春先のほろ苦さがあり、軟らかい歯触りが春めいた気分にぴったりです。吸い物やスープに使うのも彩りが美しいです。

 

 

食文化史研究家・日本の長寿食研究家 永山 久夫(ながやま ひさお)

1934年福島県生まれ。食文化研究所、綜合長寿食研究所所長。古代から明治時代までの食事復元研究の第一人者。長寿食や健脳食の研究者でもあり、長寿村の食生活を長年にわたり調査している。