ほっと一息

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2024.03.07

日々の暮らしで未来をチェンジ! 始めよう。エシカル消費

JA広報通信2024年2月号

イラスト:小林裕美子

 

「エシカル消費」とは、人や社会、環境、地域などのことを考えた倫理的(エシカル)な消費行動のこと。
私たちの身近なところから良い未来をつくる取り組みが始まっています。

 

エシカル消費って何だろう

 私たちは暮らしの中で、ものを買ったり、食べたり、使ったり、何かを消費しながら生活しています。さて、買い物で何を買うか迷ったとき、価格、品質、安全性の他に、それがどのようにして作られたかといった背景や、買い物をすることで世の中にどんな影響を与えるか、考えたことはありますか。
 エシカルとは「倫理的」という意味で、「人や社会、環境に配慮した消費行動」をエシカル消費といいます。ちょっと難しく思えるかもしれませんが、自分のことだけでなく、自分以外の人や社会、環境のことを、少しだけ考えて暮らすことがエシカル消費につながります。「この商品はどこで誰がどのようにして作ったのかな」「地産地消を心がけた方が、地元の活性化や雇用創出につながるんじゃないかな」など、普段の買い物で手軽に取り組めるエシカル消費はいろいろあります。

 

エシカル消費が目指す未来

 「買い物は未来への投票」といわれます。エシカル消費を意識することは、環境保全や社会的弱者を支援するなどの取り組みに賛成するという意識表示にもなります。一人一人の力は小さいかもしれませんが、それらが積み重なっていくことで世の中を良い方向に変えていくことを目指しています。
 エシカルという考え方は、安心・安全、品質、価格に次ぐ消費の新たな物差しといわれています。環境破壊や貧富の格差など、多くの問題を引き起こしてきたといわれている経済最優先の消費行動ではなく、「途上国の生産者につらい思いをさせていないかな」「環境破壊につながっていないかな」などと考えることが、その第一歩です。持続可能な社会の実現に向けて、できるところから無理のない範囲でエシカル消費を取り入れてみてはいかがでしょうか。

 

エシカル消費とSDGs

 SDGsは2015年に国連サミットで採択された、世界共通の持続可能な開発目標で、30年を目標に17のゴール、169のターゲットが定められています。エシカル消費は、その多くの目標達成に深く関わっています。
 エシカル消費に取り組むことで、SDGsが定めている「人・社会」「環境」「地域」の3分野の目標達成に貢献するといわれています。
【人・社会】社会的に立場の弱い人たちを低賃金で働かせないことや、児童労働などを助長させないこと。助けが必要な人を支援すること。
【環境】水質汚染や天然資源の使い過ぎなど、自然環境を損なわないこと。自然環境を良くすること。
【地域】地産地消や応援消費などで、地域社会や地域経済を損なわず、地域社会や地域経済を応援すること。
 一人一人がエシカル消費を意識することが大切です。

 

エシカル消費に関連したSDGsゴール

飢餓をゼロに

飢えをなくし、だれもが栄養のある食料を十分に手に入れられるよう、地球の環境を守り続けながら農業を進めよう

 

すべての人に健康と福祉を

だれもが健康で幸せな生活を送れるようにしよう

 

 質の高い教育をみんなに

だれもが公平に、良い教育を受けられるように、また一生に渡って学習できる機会を広めよう

 

安全な水とトイレを世界中に

だれもが安全な水とトイレを利用できるようにし、自分たちでずっと管理していけるようにしよう

 

働きがいも経済成長も

みんなの生活を良くする安定した経済成長を進め、だれもが人間らしく生産的な仕事ができる社会をつくろう

 

人や国の不平等をなくそう

世界中から不平等を減らそう

 

つくる責任 つかう責任

生産者も消費者も、地球の環境と人々の健康を守れるよう、責任ある行動をとろう

 

気候変動に具体的な対策を

気候変動から地球を守るために、今すぐ行動を起こそう

 

 海の豊かさを守ろう

海の資源を守り、大切に使おう

 

陸の豊かさも守ろう

陸の豊かさを守り、砂漠化を防いで、多様な生物が生きられるように大切に使おう

 

平和と公正をすべての人に

平和でだれもが受け入れられ、すべての人が法や制度で守られる社会をつくろう

 

パートナーシップで目標を達成しよう

世界のすべての人がみんなで協力しあい、これらの目標を達成しよう

 

公益財団法人 日本ユニセフ協会ホームページ「SDGs CLUB」より

 

やってみよう!今からでもすぐにできる エシカル消費

買い物でできること

 

リサイクル素材の商品を購入する

廃棄物を減らせるので環境負荷やCO2排出量を削減できます。

 

地元や被災地の産品を購入する

生産者や被災地支援になる上、輸送に伴うCO2排出量を減らせます。

 

商品棚の手前取りをする

消費期限が近づいた商品を選ぶと、食品ロスを削減できます。

 

福祉作業所で作られた製品を購入する

障がいのある人への支援と自立への後押しになります。

 

フェアトレード商品※を購入する

貧困のない公正な社会をつくるための助けになります。
※開発途上国の製品を適正な価格で継続的に購入することにより、現地の人々の生活を支援すること。

 

寄付付き商品を選ぶ

支払う代金の一部が寄付に回るため、手軽に社会貢献ができます。

 

再生エネルギー比率の高い電力プランに切り替える

エネルギー自給率を高め、CO2排出量削減に貢献できます。

 

買い物以外でできること

食べ残しを減らす

食品ロスを削減し、廃棄に伴う環境負荷を軽減できます。飲食店での食べ残しは持ち帰れるか頼んでみましょう。

 

マイバッグ、マイボトル持参

海洋汚染問題につながるプラスチックごみを削減できます。

 

3R(リユース、リデュース、リサイクル)を心がける

ごみ焼却や埋め立てに伴う環境負荷やエネルギー消費を減らせます。

 

省エネや節電を心がける

無駄なエネルギー消費を抑えられるので、CO2排出量も削減できます。

 

認証ラベルを探してみよう!

買い物をするときは、以下のようなラベルが商品に付いているかを目安にすると、エシカル消費につながります。

 

エコマーク

生産から廃棄にわたって環境への負荷が少ない商品やサービスに付けられています。

 

有機JASマーク

化学肥料・農薬などに頼らずに生産された農産物、加工食品に付けられています。 

 

MSC「海のエコラベル」

水産資源や環境に配慮した、持続可能な漁業で獲られた水産物の証。鮮魚や水産加工品に付けられています。

 

国際フェアトレード認証ラベル

生産者への適正な価格の支払い、労働環境保護、農薬使用規制などの基準をクリアした商品に付けられています。

 

 

 

参考資料 消費者庁ホームページ「エシカル消費とは」
『身近でできるSDGs エシカル消費①エシカル消費ってなに?』三輪昭子著・山本良一監修(さ・え・ら書房)、

『エシカル革命〜新しい幸せのものさしをたずさえて〜』末吉里花著(山川出版社)