ほっと一息

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2024.02.15

健康百科 冷え対策

JA広報通信2011年2月号

佐久総合病院名誉院長●松島松翠

 

 寒くなると「冷え性」に悩む女性の方が増えてきます。着込んでも寒くて、特に手足が冷えて指先が冷たくなるとか、入浴してもすぐ体が冷えてしまうとか、布団に入っても靴下をはかないと眠れないとか、そんな症状の方が多いようです。

 冷え症の主な原因には、低血圧や貧血、自律神経の乱れ、筋肉量の不足などがあります。

 もともと低血圧の人は、心臓から血液を送り出す力が弱く、体の隅々まで血液が行き渡りにくいので、冷えやすいのです。自律神経の働きが乱れるのは、不規則な生活、過労、寝不足、ストレスなどがあります。筋肉量の不足は「冷え」の大きな要因です。筋肉自体が熱を生み出しますし、筋肉量が少ない人は血液の量も少なく、体が冷えやすくなります。

 冷えを防ぐには、まず衣類に工夫してください。寒いからといって綿の肌着を何枚も重ねるのは、汗をかいて逆に冷えてしまうのでよくありません。できるだけ保温効果の高い素材を選びましょう。特に肌着は、最近の吸湿発熱性のある素材にすると効果的です。

 マフラーやハイネックの衣服を利用することも大事です。外出のときは帽子と手袋は必ず着けましょう。スカートは冷えるので、冬はスラックスです。入浴は、少し熱めの湯に肩まで漬かり、ゆっくり体を温めます。せっかく温めた体が冷えないように、入浴後30分以内に寝床に就きます。

 冷えのつらい人は、朝食抜き、小食の傾向があります。朝食はしっかりと、エネルギーになりやすいご飯などの炭水化物を中心に、温かいものを取ることです。冷えをなくすのに最も効果的なのは運動です。体の中から温め、血行を良くし、筋肉量を増やします。