ほっと一息
2024.01.29
知って納得! 税金講座 社会保険料控除
JA広報通信2024年1月号
JA全中・JAまちづくり情報センター 顧問税理士●柴原 一
納税者が、自己または自己と生計を一にする配偶者やその他の親族の負担すべき社会保険料を支払った場合には、その支払った金額について所得控除を受けることができます。これを社会保険料控除といい、対象は健康保険、国民年金、厚生年金保険などの保険料・掛け金です。
控除できる金額は、その年に実際に支払った金額、または給与や公的年金から差し引かれた金額の全額です。例えば、過去の社会保険料をまとめて支払った場合には、全額支払った年の社会保険料控除になります。また、国民年金保険料は最大2年前納できます。こちらは前納分も、まとめて支払った年の社会保険料控除にする方法と、各年分の保険料に按分(あんぶん)して控除する方法とを選ぶことができます。
後期高齢者医療制度では、原則として、年金から天引き(特別徴収)により徴収されています。この場合、その保険料を支払った人は年金の受給者本人であるため、その年金の受給者に社会保険料控除が適用されます。しかし市区町村などへ一定の手続きを行うことにより、年金からの特別徴収に代えて、口座振替により保険料を支払うことが選択できます。この場合には、口座振替によりその保険料を支払った方(被保険者または被保険者と生計を一にする配偶者その他の親族に限る)に社会保険料控除が適用されます。
似ているものに介護保険料があります。介護保険料は、65歳以上で年金を受給している方は、年金からの天引き(特別徴収)により納付します。しかし、年金を繰り下げ受給した方や、年金額が年18万円未満の方は普通徴収(納付書や口座振替)により納付します。後期高齢者医療保険料との最大の違いは、制度上自分の意思で納付方法を選ぶことができない点です。手続きによる普通徴収への変更は原則認められません。