ほっと一息

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2023.12.16

なくそう食品ロス 家庭で最も捨てられる食品は?

JA広報通信2023年12月号

食品ロス問題ジャーナリスト●井出留美

 

 家庭で最も捨てられる食品は野菜です。農林水産省や自治体、民間企業など、さまざまな組織が調査を行ってきましたが、野菜が家庭で捨てられやすい傾向にあることは間違いありません。

 では、どうすれば捨てないで済むのでしょう。さまざまな解決法があります。

①買い物前に冷蔵庫の野菜をチェックする

②買い物メモを作る

③レタスやキャベツを丸ごとではなく、2分の1個、4分の1個買う

④買った野菜を切って冷凍保存するなど……。

 

 私がやっている対策の一つが市販の野菜保存袋を使うことです。
 毎朝、青菜のスムージーを作るので、繰り返し使える、プラスチック製の緑色の野菜保存袋に青菜を入れています。
 一度、チンゲンサイで実験したことがあります。そのまま野菜室に入れた場合と、野菜保存袋に入れた状態で野菜室に入れた場合と、1カ月保存したらどう違うのか。
 そのまま入れた場合はミイラのように乾燥してしまい、使いものにならなくなってしまいました。一方、野菜保存袋に入れた方は、葉っぱの数枚は黄色くなってしまったものの、1カ月たっても根っこの水分が失われておらず、そのまま使うことができました。
 保存袋は、なぜ保存性が高くなるのでしょう。野菜は、そのまま置いておくとエチレンガスを放出し、これが劣化の原因になりますが、市販の野菜保存袋はこれを吸着してくれるのです。袋の中に水分がたまるのも劣化の要因になりますが、水分が付きづらい仕組みになっています。
 繰り返し使えるプラスチック袋に加えて、100%オーガニックコットン製の野菜保存袋も併用しています。米国在住の女性が、食料品店で余った野菜を使ってインクを作り、このインクを使って、袋の表面に野菜や果物のイラストを描いています。彼女が、私の著書の表紙を印刷した保存袋を特別に作ってくれたこともあるんですよ。

 

 

食品ロス問題ジャーナリスト 井出 留美(いで るみ)


株式会社office3.11代表取締役。博士(栄養学/女子栄養大学大学院)修士(農学/東京大学大学院農学生命科学研究科)。『食べものが足りない!』『SDGs時代の食べ方』『捨てないパン屋の挑戦』など著書多数。