ほっと一息
2023.12.14
お米をおいしく楽しもう 「お米を食べると太る」って本当?
JA広報通信2023年12月号
五ツ星お米マイスター●小池理雄
「お米を食べると太る」といわれるようになって10年以上たちます。しかし、最近では若者を中心に「オン・ザ・ライス」のような「○○+白米」の組み合わせで食事を楽しむ人が増えてきており、「糖質制限ダイエット」という言葉もやや使い古された感がします。
ここで、少し一般論に触れてみましょう。
炭水化物の摂取を抑制すれば、短期的には痩せます。しかし体を動かすエネルギー源の糖質が不足すると、体内ではタンパク質を分解して糖質に変換するようになり、これが肝臓や腎臓に大きな負担をかけることになります。そう、糖質制限は健康を害する行為なのです。
……というデメリットについて、私はお米マイスターという立場上、ことさら強調して話しますが、しかし、ちまたには糖質制限を推奨する説も当然あり、そうなると理屈だけでは何が正しいのかよく分からなくなる……というのが実際です。そこで切り口を変え、もっと単純に考えてみます。
①日本人のお米の消費量のピークは1962年です(農林水産省HPより)。今よりも倍以上のお米を食べていました。もしお米を食べて太るのであれば当時の人たちの方が圧倒的に太っていたはずです。当時と今の食生活を比べると、お米の消費量が減った分、肉類や油脂類を多く摂取しています。お米が犯人とは考えにくいのです。
②炊飯で使うのは水だけで、パンのように塩やバターを使うこともありません。お米自体からうま味をきちんと感じることができるため、薄味のおかずで十分に食事を楽しむことができるのです。
③お米は粒で食べるため、消化に比較的時間がかかります。腹持ちがいいため、間食をして余計なカロリーを摂取せずに済むのです。
いかがでしょうか? こう考えるとお米で太るという話はやや無理があるように思えませんか?
これからもお米と上手に付き合っていきたいですね。
五ツ星お米マイスター 小池 理雄(こいけ ただお)
小池精米店三代目店主。1971年東京・原宿生まれ。大学卒業後、出版社、人事制度コンサルティングファームなどを経て、2006年に小池精米店を継ぐ。それまでの社会経験を生かし、新しいお米屋さんのあり方を常に模索している。