ほっと一息
2023.12.13
野菜もの知り百科 カリフラワー(アブラナ科アブラナ属)
JA広報通信2023年12月号
土壌医●藤巻久志
昭和生まれの方には花椰菜(はなやさい)と言っても通じますが、平成生まれにはカリフラワーと言わなければ分からないかもしれません。カリフラワーはアブラナ科アブラナ属の野菜で、近縁には和名が緑花椰菜というブロッコリーがあります。
カリフラワーは、地中海沿岸原産のブロッコリーが突然変異で白化したものといわれています。品種改良が進み、花蕾(からい)がオレンジのものや紫色のものもあります。発育停止した状態の花芽が集合した花蕾を収穫して食べる野菜です。
ブロッコリーは頂花蕾の収穫後に側花蕾が発生しますが、カリフラワーのほとんどの品種は側花蕾の発生はありません。カリフラワーは純白で品質の良い花蕾を作るために、外葉をひもで縛って花蕾に直射日光が当たらないようにします。カリフラワーは栽培に手がかかることもあり、スーパーではブロッコリーの倍くらいの価格で売られています。
カリフラワーはグリーンプランツバーナリゼーション(緑植物体春化)といって、一定の大きさになった苗が一定の低温に遭って花芽分化します。早生品種ほど葉枚数の少ない苗で、比較的高温で花芽分化し、早くから収穫できます。晩生品種は葉枚数が多くなってから花芽分化するので、大きな花蕾になります。
世界一美しい野菜といわれるロマネスコもカリフラワーの仲間です。イタリアの伝統野菜で、欧州ではとても人気があります。日本でも高級スーパーや直売所だけでなく、一般のスーパーにも並ぶようになりました。
ロマネスコは晩生で、年明けからの収穫になります。カリフラワーやブロッコリーは消費が拡大するにつれて、極早生、早生、中生、晩生の品種がそろいました。ロマネスコも早生品種ができ、周年供給が可能になるかもしれません。品種改良は晩生にするよりも早生にする方が簡単といわれています。
藤巻 久志(ふじまき ひさし)
野菜研究家、土壌医。種苗会社に勤務したキャリアを生かし、土作りに関して幅広くアドバイスを行う。