ほっと一息
2023.11.18
日本の「農」と「食」を学ぶ ニンジン
JA広報通信2023年11月号
●日本農業検定事務局
現在栽培されている品種の多くが、15~20cmほどの円すい形をした五寸ニンジンで、欧州から米国を経て明治時代に導入された西洋ニンジンです。西洋ニンジンはベータカロテンを多く含み、オレンジ色の物が多いです。江戸時代に中国経由で導入された品種群は東洋ニンジンと呼ばれ、代表的な品種が「金時ニンジン」です。「金時ニンジン」は長さ30cmほどの細長い形で、トマトなどに含まれる色素のリコピンが多く、赤い色をしています。
問題 ニンジンの栽培についての説明で、間違っているものは次のうちどれですか。
(1)根の直下に濃い化成肥料や未熟堆肥があると岐根(きこん)になりやすいので、完熟した堆肥を使い、播種(はしゅ)前にしっかりと耕す。
(2)種まき後から生育の前半は灌水(かんすい)を少なめにし、根の肥大期以降は十分に灌水を行う。
(3)収穫が冬季の場合は、根首部(こんしゅぶ)が露出すると凍害や霜害で品質が落ちるので、中耕を兼ねて根首部を覆うように土寄せする。
(4)乾燥した後の降雨や収穫が遅れて過熟になると、根に割れ目が生じる裂根(れっこん)が出やすい。
解答:正解は(2)です。
解説:灌水は生育前半は多めが良く、根の肥大期以降は少なめが良いです。
岐根は根が複数の股に分かれる生理障害で、根の真下に濃い化成肥料や未熟堆肥があると発生しやすいので、完熟した堆肥を使いしっかりと耕すようにしましょう。根に割れ目が生じる生理障害を裂根といい、根の内部が外部より成長が早いと生じやすくなります。乾燥した後の降雨や収穫が遅れて過熟になったときなどに多く発生します。
収穫期が冬季の場合は、根首部が露出すると凍害や霜害で品質が落ちるので、中耕を兼ねて根首部に土寄せすると良いでしょう。
『新版 日本の農と食を学ぶ 中級編』(100ページ)より