ほっと一息

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2023.11.17

お米をおいしく楽しもう 新米の疑問について答えます!

JA広報通信2023年11月号

五ツ星お米マイスター●小池理雄

 

 新米はお米が最も注目される話題の一つです。今回は皆さんが疑問に感じる点についてお答えします。

①新米のおいしい炊き方は?

 新米は水分が多いといわれますが違います。お米は収穫後、保存が利くように乾燥させており、水分は14・5~15%くらいです。保存状態が良ければこの数値が極端に下がることはありません。一方で新米の組織は古米に比べて硬化していないので、通常の水加減だと軟らかくなることはあります。
 ただ、最近は新米だから柔らかいとは限りません。その原因の一つが猛暑です。あまりに暑いと米粒のでんぷんが充実しないため、弾力性がなくなります。そのため新米であってもじっくりと時間をかけて水を浸漬させないと、ふっくらと仕上がらないのです。

②新米はいつごろから出回るの?

 新米は一番早くて6月ごろから、通常は8月から出始めますが、東北地方や北海道を含めたほとんどの地域が出そろうのは10月末です。

③新米よりも年明けくらいのお米の方がおいしいって本当?

 お米は新米のように柔らかい状態よりも、多少時間がたって堅さが出た方が味の深みを感じやすくなります。新米は香りとつやがあるので、思わず「おいしい!」と言ってしまいがちですが、落ち着いて味を確かめると、やや物足りなさを感じます。

④新米の収穫は北海道が一番遅い?

 埼玉県や九州地方など、比較的暖かい地域では収穫が11月くらいになることがあります。これは麦との二毛作(同じ場所で年内に2種類の作物を続けて栽培すること)を行っていて、田植え時期も遅いからです。北海道は寒くなる前に収穫するので10月初旬には新米が出てきます。

⑤いつまでのお米が新米なの?

 収穫されたその年のうちに精米して袋詰めされた物までを新米と呼びます。
 皆さんもぜひ新米を楽しく食べてくださいね。

 

五ツ星お米マイスター 小池 理雄(こいけ ただお)


小池精米店三代目店主。1971年東京・原宿生まれ。大学卒業後、出版社、人事制度コンサルティングファームなどを経て、2006年に小池精米店を継ぐ。それまでの社会経験を生かし、新しいお米屋さんのあり方を常に模索している。