ほっと一息

ほっと一息

2023.10.20

お米をおいしく楽しもう 毎日おいしいお米を楽しむには

JA広報通信2023年10月号

五ツ星お米マイスター●小池理雄

 

 家庭でおいしいお米を食べるには何をすれば良いのでしょうか? 皆さんにとって関心の高い内容だと思います。

 炊飯は水しか使いませんので、料理としては非常に単純です。しかし、素材の味がそのまま出ますので、ごまかしが利きません。故に奥が深い世界でもあるのです。お米は皆さんもよく食べる食材なのであまり難しい話になるとハードルが高くなってしまいます。それはお米を供給する側にとっては避けたいところです。難しい話とは次のような内容です。

①炊飯器具……じか火であれば土鍋・鉄鍋・ホーロー鍋・ガス釜など。電気炊飯器であればマイコンかIHか、さらには内釜の素材は何か。

②水……浸漬のときと炊飯時の水の温度。水は浄水器を使った水道水か、ミネラルウオーターか。その場合の硬度はどれくらいか。浸漬時間や水切りの時間はどれくらいか。

 いかがでしょうか? このようにこだわり始めればきりがないのですが、中には意味のないこだわりもあります。例えば、米をとぐときに米粒が割れないように優しく洗うことは意味がありますが、それを突き詰めて米粒に衝撃を与えないようにボウルに水をためてその中に米粒を投入するという話があります。しかし、その違いが味の違いにつながることはありません。

 そう、炊飯はもっと簡単に考えていいのです。今はほとんどのご家庭で電気炊飯器を使う時代です。最近の電気炊飯器はよくできていますから、炊飯をしても驚くほどおいしくないご飯になることはありません。もしあるとしたら、それは選んだお米のせいです。そこでお米を選ぶ際には極端に安いお米は選ばずに、いつもより気持ち高めのお米を選びましょう。それだけで良いのです。

 おいしいお米を毎日楽しむには、負担にならないようなこういった簡単なアプローチで十分なのです。

五ツ星お米マイスター 小池 理雄(こいけ ただお)


小池精米店三代目店主。1971年東京・原宿生まれ。大学卒業後、出版社、人事制度コンサルティングファームなどを経て、2006年に小池精米店を継ぐ。それまでの社会経験を生かし、新しいお米屋さんのあり方を常に模索している。