ほっと一息

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2023.08.22

トラブル回避の基礎知識 老人ホームの入居権に関するトラブルにご注意!

JA広報通信2023年8月号

国民生活センター相談情報部●鮫島友里恵

 

 老人ホームの入居権を巡りトラブルが発生しています。

【事例】大手ハウスメーカーを名乗る男性から電話があり、「お住まいの地域で老人介護施設が建設されることになった。居住者を優先に入居権が割り当てられる。どうするか」と聞かれた。自宅近くに空き地があり、そこに建設されるものだと思った。「今は必要ない」と断ったところ「他府県から入居希望の方がいるのであなたの入居権を譲っていいか」と聞かれた。「構わない」と答えると「あなたの名義で申し込むのでいったん費用を払ってもらわないといけない。一部はこちらが負担するので200万円だけを負担してほしい」と支払いを要求された。「年金生活のため無理だ」と断ったが、「このままでは裁判になってしまう」と脅された。その後、損害保険会社を名乗る男性からも同様の入居権に関する電話があった。払わなくてはならないか(女性・70代)。

 有料老人ホームや介護施設に入居する権利を譲ってほしいと持ちかけ承諾すると「権利を譲るためには取引実績が必要だ」などと言葉巧みにお金を支払わせる手口です。複数の人物が登場するいわゆる劇場型勧誘は2014年をピークに減少していましたが、22年に入り再び増加傾向にあり、注意が必要です。
 「あなたは入居権を持っている」「権利を譲って」などと持ちかけてくるのは詐欺です。絶対にお金は払わないでください。一度電話に出ると断ることが難しいため、発信者番号表示機能と留守番電話機能などを利用し、心当たりのない番号にはすぐ出ずに必要に応じてかけ直す方法が有効です。
 このトラブルは70、80代の高齢者に集中して発生しています。トラブルを防ぐには周りの方の見守りが第一です。「お金が必要」など不安な様子、異変に気付いたら消費生活センターに相談してください。

※模倣品に関する情報はこちらから。https://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20221012_1.html