ほっと一息

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2023.08.14

永山久夫の健康万歳! 暑いときはやっぱりキュウリ

JA広報通信2023年8月号

食文化史研究家・日本の長寿食研究家●永山久夫

 

 

 トンボも食べたそうだった

 真っ白い入道雲が、青空に立ち上る季節になると、無性に食べたくなるのがキュウリ。子どもの頃、井戸水で冷やしたキュウリに生みそを付けてカリカリと食べていました。
 うまかったなァ。
 頭の上をトンボがすいすい飛んでいて、キュウリを食べたかったのではないだろうか。あのとき何でキュウリをあげなかったんだろうと、残暑の時期が来るたびにほろ苦く後悔しています。
 キュウリは、体を冷やす働きがあり、残暑の時期を快適に過ごすためには欠かせません。キュウリにはカリウムが多く体内の余分なナトリウム(塩分)を排出する作用があり、高血圧の予防に役立ちます。
 キュウリにはビタミンCなど美白効果のある成分も含まれていて、お肌の若返りに食べられる場合もあります。

 

 「黄瓜」からキュウリに

 初秋の食欲不振を救ってくれるのがキュウリのぬか漬け。上手に漬け上がったキュウリを見ただけで食欲が湧いてきます。
 栄養の塊のような米ぬかを漬け床にして発酵させたのがぬか漬けですから、キュウリにも多彩な栄養が染み込んでいるのです。
 キュウリのぬか漬けを食べるということは、米ぬかのビタミン類に加えて乳酸菌などの生菌を腸まで送り込むことを意味します。腸が完全に元気になって病気に対する免疫力も強くなり、老化を防ぐ上でも役立ちます。
 キュウリの原産地はインドとみられ、3000年も前から栽培されていたようです。日本に伝来したのは6世紀初めで「キュウリ」という名前は熟すと黄色になるところから「黄瓜」が転じてキュウリになったといわれています。

 

 

 

 

食文化史研究家・日本の長寿食研究家 永山 久夫(ながやま ひさお)

1934年福島県生まれ。食文化研究所、綜合長寿食研究所所長。古代から明治時代までの食事復元研究の第一人者。長寿食や健脳食の研究者でもあり、長寿村の食生活を長年にわたり調査している。