ほっと一息

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2023.08.06

私の食育日記 お菓子作りで実験中

JA広報通信2023年8月号

食育インストラクター●岡村麻純

 娘がお菓子作りに夢中です。クッキーにケーキにパン作り、レシピが載っている児童書を借りてきては、次はこれを作りたいと張り切っています。そんな娘が、「お菓子作りってほとんど小麦粉使うね。材料は同じなのにどうして膨らんだり、さくさくになったりするの?」と質問してきました。お菓子だけでなく、うどんやパスタなど小麦粉が原料の身近な食材は多くあります。

 小麦粉に含まれるタンパク質にはグルテニンとグリアジンと呼ばれる物があります。水を吸収するとこの二つのタンパク質が絡み合い、弾力のある塊になります。これをグルテン形成といいます。このグルテン形成された塊はドウといい、私たちが生地と呼んでいる物です。小麦粉には強力粉、中力粉、薄力粉とありますが、これらはこのタンパク質含量の違いです。強力粉はタンパク質含量が多く、よりグルテンが多く形成されます。そのためもちもち感が必要なパンに使われ、逆に軽い食感が好まれるクッキーやケーキは、タンパク質含量の少ない薄力粉が使われます。

 この小麦粉の塊である生地を膨らます方法はいくつかあります。パンでは酵母を発酵させてそこで生じる二酸化炭素によって膨らみます。クッキーやドーナツ作りに使うベーキングパウダーは合成膨張剤といい、炭酸水素ナトリウムから発生させた二酸化炭素によって膨らみます。スポンジケーキは、卵白を泡立てることでできる気泡を熱によって膨張させることで膨らみます。このように、グルテン形成の量と、膨らませる物の違いによって同じ小麦粉からもさまざまな食感、形の物ができていくのです。

 娘には「水を入れたらどうなるかな?」とか、イーストやベーキングパウダーを使う際は「これが生地を膨らませるんだよ」と材料それぞれの役割を伝えるようにしています。それだけで、お菓子作りが実験のようになって娘はより楽しくなるようです。

 

岡村 麻純(おかむら ますみ) 食育インストラクター

お茶の水女子大学食物科学講座卒業
大学では食育をテーマに研究
男女2児の母