ほっと一息

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2023.05.05

介護ハンドブック 新型コロナ陽性時の介護対処は保健所へ相談

JA広報通信2023年4月号

介護者メンタルケア協会代表●橋中今日子

 

 コロナ禍に入って3年以上が経過し、社会は活気を取り戻しつつあります。しかし、新型コロナ陽性になると介護保険サービスが中止になるケースが多く、高齢者や要介護者の家族がいる人の状況は厳しいです。

 

 家族が陽性で介護サービス停止

 会社員Kさん(女性・30代)は若年性認知症の母親(60代、要介護2)との2人暮らしです。職場内で新型コロナのクラスターが発生し、Kさんも陽性になりました。母親は陰性ですが、濃厚接触者のため、デイサービスと訪問介護サービスが中止されました。母親は糖尿病の持病があるため、感染した場合は重症化するリスクがあります。Kさんは、体調が思わしくない中での介護と感染対策で精神的につらい状況だったそうです。
 心の支えになったのは、保健所とケアマネジャーからの定期的な電話連絡でした。Kさんの体調を気遣いながら、生活物資の確認の他、「下痢や嘔吐(おうと)が続いているときは、脱水症状から重篤な状態に陥る可能性があるので、息苦しさがなくても医師や保健所に連絡を」といった情報も教えてもらいました。ケアマネジャーも、万が一母親も感染した場合、主治医の往診は可能か、陽性者の訪問看護や介護をしている事業者が近くにないかといった情報を集めてくれました。陽性になりながらも介護しなければならない現実は変わりませんでしたが、1人ではないと感じることができ、心が折れずに済んだとKさんは話してくれました。

 どこに連絡したらいいかを事前に相談しておこう

 新型コロナに感染したときの支援情報を一番持っているのは保健所です。保健所が動いて、緊急訪問診療を受け、介護者、要介護者の入院などがスムーズに進んだとの話も届いています。しかし、土日は窓口が休みの場合が多いです。保健所の連絡先、休日や急変時の相談先について、ケアマネジャー、地域包括支援センターから情報を得ておきましょう。

※新型コロナウイルスの感染状況により、今後医療対応が変わる可能性があります。