ほっと一息
2024.09.13
資産管理の法律ガイド 親族法について その11
JA広報通信2024年
JA全中・JAまちづくり情報センター 顧問弁護士●草薙一郎
今回は離婚のときの財産分与について説明をします。
協議上または裁判上の離婚をした者は、相手に対して財産の分与を請求することができます。協議ができないようなときは、家庭裁判所に対して協議に代わる処分を請求できますが、その期間は離婚のときから2年間です。2年を経過すると裁判所への申し立てができなくなります。
裁判所はこの申し立てに対して「当事者双方がその協力によって得た財産の額その他一切の事情を考慮して、分与をさせるべきかどうか並びに分与の額及び方法を定める」ことになります(民法768条3項)。
つまり、財産分与の申し立てをしても裁判所は財産分与を認めないこともあるし、その額をどうするかや、決まった分与の内容をどんな方法で履行させるのか(例えば分割でお金を支払わせるなど)を決めることができるとされています。
財産分与の請求と離婚についての有責配偶者との関係ですが、これは直接関係はしません。有責配偶者であっても財産分与の請求は可能ですし、離婚の有責原因が当事者双方にないケースでも財産分与の請求は可能です。
この財産分与ですが、夫婦共同生活のときに取得された財産を清算する意味、離婚後の生活を扶助する意味、それに慰謝料的意味があるとされています。
一般的には財産の清算目的が多いようですが、分与の割合は双方が平等になる方向で解決することが多いです。具体的には、資産から負債を控除した財産に関しては、夫婦はお互いに平等に寄与して財産を取得したから、財産分与も平等に分けるという内容です。
次回も財産分与の説明をします。