ほっと一息

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2024.07.10

トラブル回避の基礎知識 マルチ商法に気をつけて

JA広報通信2009年6月号

国民生活センター 相談部●吉松恵子

 

 マルチ商法では、お金ばかりでなく大切な友人まで失ってしまいます。典型的な例をご紹介しましょう。

 あまり親しくない知人から突然電話があり、「とても良い話がある。一緒に聞きに行こう」と誘われました。何の話か尋ねても「それは後のお楽しみ」と教えてくれません。

 熱心に誘う知人をむげに断ることができず同行したところ、広い会場に大勢の人が集まり、壇上のスーツ姿の男性が演説を始めました。

 「健康な暮らしのためには、体の内と外からのケアが不可欠!」と、陳列された健康機器や健康食品を紹介し、「これを使えば肩凝りや腰痛がうそのように解消します」と説明します。最近、肩凝りがひどいため魅力を感じましたが、高額な価格を聞いてためらいました。

 すると「商品を友人にすすめれば紹介料を支払います。3人までは1人につき価格の10%、4人以上なら30%、10人を超えたら50%!

 元が取れる上、お小遣い稼ぎにもなります。さらに、あなたが勧誘した人が友人に売った場合は、あなたにも収入が入ります。商品はとても良いものなので間違いなく売れます」と話すので、購入を決意しました。

 定期預金を解約して代金を支払ったため、早く元を取らなければと、趣味の仲間など思いつくままに電話をかけましたが、いずれも冷淡な反応でした。購入してくれそうな人は一人もいません。中には「それは良くない商法だから早くやめた方がいい」と忠告する人もいたくらいです。

 自分を誘った知人に電話すると、いつも留守番電話になっています。「連絡を下さい」と吹き込んでも電話はかかってきません。

 こうしたマルチ商法には近づかないのが一番です。「人を誘えばもうかる」が、判別する際のキーワードとなるでしょう。