ほっと一息
2024.06.29
資産管理の法律ガイド 相続登記の義務化
JA広報通信2024年5月号
JA全中・JAまちづくり情報センター 顧問弁護士●草薙一郎
当事者間で離婚について協議ができないときは裁判上の離婚手続きになり、原則として家庭裁判所に調停を申し立てます。調停でも離婚に関する合意ができないときは、離婚訴訟を申し立てることになります。調停が不成立のときに自動的に訴訟になるのではなく、新たに訴訟を申し立てる必要があります。
離婚訴訟は裁判所が離婚を認めるか否かなどを判断することから、離婚原因が民法で定められています。
①配偶者に不貞行為があったとき
②配偶者から悪意で遺棄されたとき
③配偶者の生死が3年以上明らかでないとき
④配偶者が強度の精神病にかかり回復の見込みがないとき
⑤その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき――と民法は規定しています。
ただ、①から⑤の原因があったとしても、裁判所は一切の事情を考慮して婚姻の継続を相当と認めるときは、離婚を認めないこともできます。
離婚原因として多いのは、⑤の婚姻を継続し難い重大な事由があるケースです。夫婦の関係が考え方や価値観の違いから冷え切っているとか、ハラスメント行為があって夫婦として継続することができないなどが考えられます。
ただ、このような場合、お互いに信頼関係がなく夫婦としては破綻していることを、どのように立証するかが裁判では重要な問題となります。別居期間が長ければ夫婦として破綻していることを推測させますが、夫婦で連絡を取り合っているようなときは、果たして破綻しているといえるかの議論が生じます。
裁判で離婚をすることになる場合には必ず弁護士に相談し、裁判の代理人として対応をしてもらうことが大切です。