ほっと一息

ほっと一息

2024.06.27

シニアのためのネットリテラシー講座 「だいふくあまい」で災害時の情報収集・発信

JA広報通信2024年5月号

成蹊大学客員教授/ITジャーナリスト●高橋暁子

 

 災害時はSNS(会員制交流サイト)での情報収集が大切ですが、デマも多くなることが知られています。災害時のSNSにおける情報収集・発信のこつを解説します。

情報収集のこつ「だいふく」

 デマを拡散してしまうと周囲に迷惑をかけ、混乱を引き起こす可能性が高くなります。SNSで得た情報は、必ず情報の信頼性を確認する習慣を付けましょう。情報収集のこつは、「だいふく」と覚えましょう。
 「だ」は誰。必ず情報の最初の発信者を確認しましょう。メディアや省庁、専門家などが発信していれば信頼性が高いですが、知らない一般人の場合はプロフィルや前後の投稿なども確認する必要があります。
 「い」はいつ。情報が最新の内容かどうか確認しましょう。古いだけでデマになることもあるためです。
 「ふく」は複数。複数の信頼できる情報源があればその情報は信頼できる可能性が高いと考えられます。
 ただし災害時は情報が錯綜(さくそう)しており、信頼性が確認できないこともあります。デマか真実か見極められないときは、少なくとも拡散はしないことが大切です。不確かな情報をうのみにして行動しないようにしたいですね。

 


「あまい」に留意して情報発信を

 電話がつながらない緊急時には、SNSで救助要請などの情報を発信する可能性もあるでしょう。情報発信のこつは「あまい」です。
 「あ」は自分が安全な状態で情報発信しているか。「ま」は間違った情報にならないか。「い」は位置情報(自分の現在地の情報を利用できるサービス)を活用し、どこでどのような被害が起きているのかなどを発信するということです。
 緊急時にはX(旧ツイッター)などで救助要請するのも有効ですが、救助後も住所や名前などの個人情報がネット上に残ってしまうリスクがあります。LINEやフェイスブックなどで知人など限定で救助要請を依頼するとそのようなリスクが減るので、うまく活用してくださいね。

 

 

 

成蹊大学客員教授/ITジャーナリスト 高橋 暁子(たかはし あきこ)


SNS、10代のネット利用、情報モラルリテラシーが専門。スマホやインターネット関連の事件やトラブル、ICT教育に詳しい。NHK「あさイチ」「クローズアップ現代」などテレビ出演多数。SNS関連の著書は20冊以上。