ほっと一息

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2024.06.26

トラブル回避の基礎知識 学生の就活に付け込むトラブルにご注意

JA広報通信2024年5月号

国民生活センター相談情報部●井澤美智子

 

 

 就活生の不安に付け込んだ契約トラブルが発生しています。

【事例】就活の情報収集用のSNS(会員制交流サイト)のアカウントに「エントリーシートの添削を手伝う」とフォロワー(自分の投稿を見ることができる人)から連絡があり依頼した。添削で「理論的思考力が足りない。私の上司から無料カウンセリングを受けた方が良い」と勧められた。届いたURLからウェブ会議に参加すると、その上司から「このままでは就職に失敗する。当社のプログラミングスクールで勉強した方が良い」と50万円の契約を勧められた。高額なので親に相談したいと伝えたが、「親に話すと反対される。事後報告でよい」と強く言われ、相談できず契約した。代金は仕送りなどを工面して支払ったが、本当に役に立つかどうか分からない。解約して返金してほしい。

 

 企業説明会や面接などのウェブ開催が増えたこともあり、最近の就活はオンラインの活用が進んでいます。以前は、高額なセミナーなどの勧誘は就活セミナー会場などで行われるケースが多かったのですが、最近はSNSで知り合った人からの連絡をきっかけにウェブ会議に参加し、不安をあおられて高額な契約を勧誘されるケースが見られます。
 事業者から送られたURLからウェブ会議に参加し、勧誘されて契約した場合には電話勧誘販売に該当し、クーリング・オフができる場合があります。また、社会生活上の経験が乏しいことから就職に不安を抱いている就活生に対し、事業者が不安をあおって契約が必要と告げたり、契約を締結するかどうか電話などで親に相談したいと言っているのに、事業者が威迫する言動を交えて妨害したりして契約に至った場合には、契約の取り消しができる可能性があります。
 インターネット上の無料カウンセリングなどの広告や、SNSで知り合う人からの一見親切な誘いは高額な勧誘が目的である恐れがあります。安易に誘いに乗らないようにしましょう。