ほっと一息
2024.06.11
お米をおいしく楽しもう お米の「品種」
JA広報通信2024年5月号
五ツ星お米マイスター●小池理雄
みんなは普段、どんなお米を食べているか、分かるかな?
「え? どんな? どんなお米って……。普通に白いやつでしょ?」
そう、確かに見た目は白いよね。でも同じに見えて実はいろいろな種類があります。例えば犬を考えてみよう。同じ犬とはいっても、大きい犬や小さい犬、毛が長い犬や短い犬などさまざまだよね。お米もそれと同じ。お米にもいろいろな種類があるんだ。これを「品種」といいます。
「コシヒカリ」「つや姫」「ゆめぴりか」……。もしかしたら聞いたことがあるんじゃないかな? 日本には1000種類も品種があるんだ。栽培されているのは300種類くらいだけれども、それでも多いよね。
「さ、300って……。そんなに味の違いがあるのかなぁ?」
お米は硬さと粘りの違いで味が決まり、品種ごとに性格が異なるんだ。それとお米は農産物だから、地域によって育つお米とそうでないお米がある。沖縄のような暖かい地域で栽培されているお米は、北海道のような寒い地域では栽培できないんだ。気温の違いや太陽が照っている時間の違いによるんだよ。
ではここでほんの一部だけれども品種を紹介してみよう。
今、日本で最も生産量が多いのが「コシヒカリ」。次に多いのが「あきたこまち」「ひとめぼれ」「ヒノヒカリ」の三つで、いずれも「コシヒカリ」から生まれたお米。
最近は各地でたくさんのお米が生まれていて、「つや姫」は山形県生まれ、「ゆめぴりか」は北海道生まれだ。「コシヒカリ」は福井県生まれだけれども、今では新潟県の生産量が多くなっているよ。
変わった名前では富山県生まれの「富富富(ふふふ)」。熊本県では「くまさんシリーズ」があって「森のくまさん」「くまさんの輝き」「くまさんの力」というお米があるんだ。
新しい品種は10年以上かけてやっと一つ生まれるんだ。そこまでして品種を生み出す日本人は、本当にお米好きということが分かるね。
五ツ星お米マイスター 小池 理雄(こいけ ただお)
小池精米店三代目店主。1971年東京・原宿生まれ。大学卒業後、出版社、人事制度コンサルティングファームなどを経て、2006年に小池精米店を継ぐ。それまでの社会経験を生かし、新しいお米屋さんのあり方を常に模索している。