ほっと一息

ＪＡ広報通信２０２４年４月号

国民生活センター相談情報部●黒澤夏子

　「〇〇ペイ（QRコード決済サービス）」で返金してもらうつもりが送金してしまったという相談が消費生活センターに寄せられています。

【事例】スマートフォンでブランド物のバッグを探していると、通販サイトを見つけた。注文後、個人名義の銀行口座に前払いしたが商品が届かなかった。通販サイトに連絡すると「欠品になったので〇〇ペイで返金する」と言われ、返金サポート窓口のLINEアカウントを追加登録するよう案内された。登録後、相手の指示に従って〇〇ペイのリンクをタップし、表示された画面に返金に必要という数字の「パスワード」を打ち込んだ。しかし、毎回「エラーになる」と言われ同じ操作を繰り返した。気付いたらパスワードの数字は「送金額」で、操作するたびに他人のアカウントに送金していたと分かった。だまされたので返金してほしい。

　上記のトラブルでは返金方法が「〇〇ペイのみ」に限定されていることが特徴です。操作途中に送金してしまったことに気付き指摘しても「後で返金する」などと言ってけむに巻かれ、操作を続けることでさらに送金してしまう場合があります。相手とビデオ通話しながら自分のスマートフォンの画面を共有し指示通り操作しているうちに、〇〇ペイにひも付けていた銀行口座やクレジットカードから勝手に他人のアカウントに電子マネーをチャージしてしまうケースもあります。
　相手の指示通り操作した結果、送金やチャージしてしまった場合、自身でスマートフォンを操作していることから〇〇ペイ提供事業者やクレジット会社に返金などの補償を求めることは原則困難です。各〇〇ペイ提供事業者や国民生活センターでは同様のトラブルの注意喚起を行っています。「〇〇ペイで返金します」と言われたら詐欺を疑い、安易に相手の指示通りに操作しないよう気を付けましょう。