ほっと一息
2024.05.14
お米をおいしく楽しもう お米と日本人の深い付き合い
JA広報通信2024年4月号
五ツ星お米マイスター●小池理雄
日本人がお米と付き合い始めたのは、今から約3000年前。まだ日本人が動物を狩ったり、山で植物を採ったりして暮らしていた、そんな時代から稲作は始まったんだ。
食べ物を採る時代から自分たちで作る時代になったけど、日本は外国に比べて国土は狭く、山が多い土地なので、たくさんの食べ物は作れませんでした。それでも日本人が暮らせたのはお米のおかげ。
お米はとても効率の良い作物で、種もみ1粒をまくとたくさんのお米ができます。今から1300年前には1粒が10~20倍にも増えていたんだって。一方で麦は同じくらいの時代で3~4倍程度だったといわれているんだ。
田んぼでは毎年お米ができるけれども、これって実はすごいことなんだ。普通は同じ作物を同じ土地で毎年作ることは難しいんだよ。土地の栄養分が減ってしまうからね。だから一度、その土地は休ませるのだけれども、そうなるともっと広い耕地が必要になってしまう。ところが田んぼは水を張っているため、毎年お米を作ることができるんだ。だから狭い地域でも多くのお米を栽培でき、日本人の命をつなぐことができたんだよ。
お米を使った食べ物ってみんなの周りにたくさんあるよね。家での朝ご飯や給食のご飯はもちろん、おすし、おにぎり、丼、ぬか漬け、お餅、大福やおはぎなどのスイーツ、せんべいやおかきといったお菓子。これって昔からある食べ物で、みんなが大好きなものばかり。こうやって昔からある食べ物は全部お米がなければ成り立たないよね。
お米の栽培が始まると、支配者が生まれました。その呼び名は時代によって大王、天皇、将軍、大名とさまざまだけども、権力者の力はいかにお米が取れる土地を支配していたかで決まっていたんだ。そんな国は、日本だけ。
こうやって見ていくと、お米と私たち日本人との付き合いが、いかに古く、そして深いかが分かりますね。
五ツ星お米マイスター 小池 理雄(こいけ ただお)
小池精米店三代目店主。1971年東京・原宿生まれ。大学卒業後、出版社、人事制度コンサルティングファームなどを経て、2006年に小池精米店を継ぐ。それまでの社会経験を生かし、新しいお米屋さんのあり方を常に模索している。