ほっと一息
2024.04.11
資産管理の法律ガイド 親族法について その7
JA広報通信2024年3月号
JA全中・JAまちづくり情報センター 顧問弁護士●草薙一郎
今回から離婚に関する説明をします。
離婚とは夫婦の関係を法的に解消することですが、離婚の方法としては、協議離婚と裁判上の離婚とがあります。裁判上の離婚には、調停による離婚と判決による離婚とがあります。
日本の離婚制度は、当事者間での話し合いで離婚をする、話し合いで合意が成立しないときは、裁判の中で離婚をすることになるものの、まずは話し合いを前提に家庭裁判所での調停をし、その調停でも合意ができないときは、どちらかが離婚訴訟を家庭裁判所に申し立て、判決で離婚か否かを決めるという制度になっています。
もちろん、いきなり離婚調停の申し立てをすることも可能です。また、当事者の一方の所在が不明であるようなときは、いきなり離婚訴訟の提起も可能です。
ただ、気を付けなければいけないのは、協議離婚については、民法に規定している離婚原因がなくても離婚は可能ですが、少なくとも離婚訴訟の場合には、法律が定めている離婚原因が必要です。裁判所が離婚を認めるか否かの判断を示すのですから当然といえます。
なお、調停による離婚ですが、裁判所の調停手続きを利用する方法です。調停は当事者間の話し合い解決を旨とするもので、解決に当たっては、裁判所の家事調停委員2人(男女各1人)が当事者双方の話を聞き、解決の内容などについてアドバイスをするものです。
調停委員は裁判官と違って、離婚を命じる、命じないという権限はありませんので、当事者の主張から解決の可能性がないときは、調停は不成立となります。後は当事者のどちらかが離婚を望むのであれば、その者から離婚訴訟の申し立てをすることになります。
次回も離婚の説明をします。