ほっと一息
2024.03.30
介護ハンドブック 認定調査で普段の状況を伝えるこつ
JA広報通信2024年3月号
介護者メンタルケア協会代表●橋中今日子
介護が必要になる原因の1位は認知症です。認知症の症状は、本人の状態や環境によって変わります。認定調査のときだけ、普段と違った振る舞いを見せることもあります。「症状が進行しているのに、介護度が変わらない」という相談は多いです。
母の要介護度が「要支援1」のまま変わらない
関西在住のYさん(女性・40代・会社員)は、実家で1人暮らしをしている認知症の母親(70代・要支援1)を援助しています。母親は最近、認知症の症状が進んでいます。トイレの失敗が増えても気が付かず、電子レンジの使い方を忘れて冷たい食事を取っているようです。1人で外出し警察に保護されたこともあります。要支援1の状態ではないと感じたYさんは、デイサービスの利用回数を増やすためにケアマネジャーに相談し、要介護度を再認定する「区分変更申請」を行いました。しかし、認定調査の結果、介護度は変わらず、Yさんは困ってしまいました。
「できているが不適切な行為」を箇条書きで伝える
Yさんには、再度「区分変更申請」を行うこと、そして調査員と主治医に「できているが不適切な行為」を箇条書きにしたメモを渡すようにアドバイスしました。例えば「1人で着替えはできるが、夏でもセーターを着ている」「1人でトイレに行けるが、衣類が汚れても気が付かない」といった行為です。要介護度は、訪問調査と「主治医意見書」で判定されます。箇条書きのメモを渡すことで、調査や受診の短い時間では判断しにくいことを伝えられます。
母親の現状についてのメモを活用した結果、Yさんの母親は要介護3の認定が下りました。今では週3回のデイサービスと週2回の訪問介護、月2日ほどのショートステイを利用できるようになり、Yさんの負担と不安は大きく減りました。
メモをコピーし、ケアマネジャーや介護サービス事業所のスタッフに渡しておくのもいいですね。より適切なケアにつながるでしょう。