ほっと一息
2024.03.17
トラブル回避の基礎知識 乳幼児の加熱式たばこ誤飲事故が起こっています
JA広報通信2024年2月号
国民生活センター相談情報部●上野純子
【事例】父親が吸い終わった加熱式たばこを本体に挿したままソファに置いていたら、生後10カ月の子どもが吸い殻を本体から抜いて口に入れてしまった。子どもが茶色いものを戻していることから気付いた。吸い口は折れて、タバコ葉の入った部分はぐちゃぐちゃになって吐き出してあった。金属片がなくなっており、子どもの顔色も真っ青だったので緊急外来を受診した。レントゲンで胃内に金属片が認められ、経過観察後に帰宅した。翌朝、金属片は自然排出された。なお母親は、加熱式たばこに金属片が入っていることは知らなかった。
タバコ葉の入ったスティックなどを電気的に加熱して吸う加熱式たばこ。そのタバコ葉には、誤飲すれば中毒症状を引き起こす量のニコチンが含まれています。吸い殻のスティックなどは火災の危険がないのでそのままごみ箱に捨てられたり、いすや机などに放置されたりすることもあるようですが、サイズは乳幼児の口内にも収まるほどで、最近では誘導体として金属片が内蔵されたスティックも販売されており、誤飲すれば、口、喉、消化管などを傷つける恐れがあります。
誤飲した乳幼児は、はいはい、つかまり立ちをするようになった頃の月齢が最も多く、親の予想外の広範囲に手が届くようになる頃です。乳幼児の誤飲事故は大人の不注意に原因があります。スティックなどは絶対に乳幼児の手や目の届かない場所に保管・廃棄することが必要です。家庭に喫煙者がいる場合、それ以外の家族もどのような銘柄、スティックなどの形か、金属片内蔵かなどを把握しておきましょう。
万が一誤飲事故が起こってしまった場合は、体内でニコチンが溶け出し吸収されないように水や牛乳などは飲ませず、直ちに医療機関を受診しましょう。