ほっと一息
2024.01.15
みんなのSDGs 田んぼソムリエになろう 冬に田んぼで産卵するカエルがいます
JA広報通信2024年1月号
田んぼソムリエ●林 鷹央
皆さんはカエルの卵といわれてどんな形を思い出しますか?
ニョロニョロしたところてんみたいな形を思い浮かべた人は、公園の池などでヒキガエルの卵を見たことがあるのでしょう。
もしドーム状でタピオカみたいな卵を思い浮かべた人がいたら、昔ながらの里山・田んぼが残っている地域の人です。現代の整備された田んぼは、水はけが良く冬から春にかけて乾いています。しかし、トラクターのわだちに水がたまったり、土水路が残っている田んぼだと、冬の終わり頃(地域によっては真冬)にニホンアカガエル、ヤマアカガエルなどが田んぼに産卵にやって来ます。キュルキュルと高く優しい声で鳴き、冬の田んぼにカエルがたくさん集まります。お祭りは数日間続き、ある日申し合わせたように全員撤退します。中には力尽きて凍ってしまうカエルもいます。あえて寒い時期に集まるのは、天敵の蛇が冬眠中だからと考えられています。
田んぼ周りの水たまりが産卵場、田んぼがオタマジャクシが育つ幼稚園。周りの草むらや斜面林などは親ガエルの隠れ家。田んぼと里山はカエルの往来でつながっているのです。
街のヒキガエル卵塊
ニホンアカガエル
田んぼのアカガエル卵塊
田んぼソムリエ 林 鷹央(はやし たかお)
三重県生まれ、東京育ち。「田んぼの生きもの調査」を通して全国の農村・学校で生物多様性や農・里山文化の意義を伝える。著書に『田んぼソムリエになる!』(安心農業株式会社刊)がある。