ほっと一息
2024.01.12
お米をおいしく楽しもう 海外の人から見た日本のお米
JA広報通信2024年1月号
五ツ星お米マイスター●小池理雄
海外の人から見た日本のお米はどのように映るのでしょうか?
海外でのお米とは、あくまでも食糧としての「お米」でしかなく、品種による味の違いや料理に合わせたお米の選択などはあまり意識されていないようです。
ところが、私たち日本人にとって品種による味の違いを考えるのは一般的なことです。業界的には精米歩合の調整やブレンドにより味を変えることも普通のことです。
弊社は東京・原宿という場所柄、日本のお米に魅せられた外国の方がたくさん周りにいます。弊社との取引店で最も高いお米を使っているのは海外の方がオーナーのおにぎり店です。今、ある大きなホテルにお米を納めていますが、その総料理長はフランス人です。以前勤めていた店でお米の魅力に目覚め、以後弊社をご指名いただいているのです。
先日、弊社に1人の米国人が来店されました。そして店頭に並んでいる「コシヒカリ」と「つや姫」を見て一言。「この二つの違いは何か?」。今や海外の方でも、日本のお米というくくりではなく、品種の違いまで意識している方もいます。
以前、海外の方向けにお米について講演する機会があり、その際にお米の食べ比べをしました。お米の品種ごとの味の違いを感じるのはかなり難しい技術なのですが、彼らの多くが味の違いをきちんと判別できていたのです。
私たち精米店が普通に行っているお米のブレンドの技法。今まで弊社を訪れたスペイン人、ポルトガル人、韓国人、いずれも皆さん、実は日本のすし店のしゃりは、店舗によってブレンドされていて味が異なっていることに驚嘆するのです。
このような事例を通じて、私は海外の方がお米に熱視線を送っていることを肌で感じています。海外からの評価を見ると、私たち日本人もお米の素晴らしさにあらためて気付かされますね。
五ツ星お米マイスター 小池 理雄(こいけ ただお)
小池精米店三代目店主。1971年東京・原宿生まれ。大学卒業後、出版社、人事制度コンサルティングファームなどを経て、2006年に小池精米店を継ぐ。それまでの社会経験を生かし、新しいお米屋さんのあり方を常に模索している。