ほっと一息

ほっと一息

2023.11.08

資産管理の法律ガイド 親族法について その2

JA広報通信2023年10月号

JA全中・JAまちづくり情報センター 顧問弁護士●草薙一郎

 

 今回は婚姻の要件について説明をします。

 婚姻は届け出をすることが必要です。届け出に当たっては、婚姻をすること、届け出を出すことの意思が当事者にあることが大前提となります。そして、成人の証人2人以上が署名した書面に当事者双方が必要事項を記載します。なお、口頭で届け出をすることも可能です。

 婚姻の意思のない届け出をしても婚姻は無効です。しかし、届け出をされてしまうと戸籍が動く可能性があります。

 そこで、婚姻届を記載して相手に渡したが、婚姻の意思がなくなったようなときは、役所に不受理届を提出して戸籍の動きを一時的に停止させることができます。

 婚姻届を役所が受理するためには、当事者が18歳以上であること、いわゆる重婚になっていないこと、近親婚でないことを認めた上で受理されることになります。

 従前、女性には再婚禁止期間がありましたが、嫡出推定制度の見直しにより、令和4年の法改正で、この要件は削除されることになります(施行は令和6年4月1日から)。

 もし、前記の要件を充足していないのに、届け出が受理されたり、詐欺や強迫によって婚姻をしたりするケースでは、当事者、親族または検察官から家庭裁判所に対して婚姻の取り消しを請求することができます。ただし、取り消しの請求が可能な期間の制限などがあるので注意してください。

 ちなみに近親者間の婚姻は、直系血族、3親等内の傍系血族ではできません(ただし、養子と養方の傍系血族との間は別)。直系姻族間もできませんので、配偶者の両親等との婚姻はできません。養子、その配偶者、または養子の直系卑属、その配偶者と養親またはその直系尊属との間でも、離縁後も婚姻できません。

 次回は婚姻の効力について説明します。