ほっと一息

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2023.11.05

トラブル回避の基礎知識 マグネットパズルの誤飲にご注意!

JA広報通信2023年10月号

国民生活センター相談情報部●井澤美智子

 

 マグネットパズルに内蔵された磁石を幼児が誤飲して、胃や腸に穴が開く事故が発生しています。

【事例】六角形のマグネットパズルが破損し、樹脂の中に入っていたネオジム磁石8個のうち5個がなくなっていることに家族が気付いた。子どもに嘔吐(おうと)の症状があり、病院を受診してエックス線で調べると、胃内に3個の異物があり、誤飲と診断された。自然排せつを期待して経過観察となったが、排出されなかったため、誤飲から5日後に腹腔(ふくくう)鏡下手術で磁石を取り出したところ、強力な磁力により、腸管壁に穴が開いていた。
 マグネットパズルは、永久磁石の中で最も強力なネオジム磁石が内蔵された玩具です。三角形や四角形などの枠状のパーツ同士を複数組み合わせることで平面や立体を造形することができるため、子どもの知育玩具として普及しています。しかし、マグネットパズルの樹脂が破損するなどで内蔵されたネオジム磁石が外部に出てしまうと、子どもが誤飲する危険性が生じます。複数個のネオジム磁石を誤飲した場合、磁石同士が体内で消化管を隔ててつながり、消化管に穴が開くことがあり、大変危険です。
 こうした事故の発生を受け、消費生活用製品安全法が改正されました。事例のような磁石製娯楽用品は2023年6月19日以降、技術基準を満たし、PSCマーク(消費生活用製品の安全マーク)が表示されたものでなければ販売できなくなりました。ただし23年12月18日までは経過措置期間となり、技術基準を満たさない製品も販売される可能性があるので注意が必要です。一方、既存の製品を持っている場合は、できる限り廃棄を検討した方が安心です。
 子どもには興味を持った物を口の中に入れて確認しようとする習性があります。マグネットパズルに限らず、大人は玩具などのリスクを認識し、子どもの誤飲事故を防ぎましょう。