ほっと一息

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2023.10.11

資産管理の法律ガイド 親族法について その1

JA広報通信2023年9月号

JA全中・JAまちづくり情報センター 顧問弁護士●草薙一郎

 

 今回から民法の親族に関する部分(親族法)の説明をします。

 内容は、①総則 ②婚姻 ③離婚 ④実子 ⑤養子 ⑥親権 ⑦後見 ⑧保佐 ⑨補助 ⑩扶養です。

 今回は①総則の説明です。民法725条は、親族の範囲として、㋑6親等内の血族 ㋺配偶者 ㋩3親等内の姻族を明示しています。

 血族というのは、自然的に血縁のある者の他に養子・養親などの法的に血縁があるとされる者を指します。親子やいとこなどが例として挙げられます。親子であると、親と子は1親等であり、家系図を書くと分かりますが、兄弟姉妹は親に1回戻ってから他の兄弟姉妹に下りますので、2親等になります。

 配偶者は婚姻届の当事者です。姻族とは自分の配偶者の血族の者を指します。配偶者の父母は自分から見ると、姻族1親等ということになります。

 この他、親族を示すときの用語には、直系・傍系、尊属・卑属というものがあります。直系は家系図を書いたとき自分と上下につながった関係の者で、傍系は一度、横にずれる関係の者です。父母は直系であり、兄弟姉妹は傍系となります。また、家系図の自分より上に書かれる者が尊属、下に書かれる者が卑属といわれます。

 養子は、縁組の日から養子と養親およびその血族との間における同一の親族関係が生じます。この親族関係は消滅することはないのですが、離婚のとき、養子縁組解消のとき、そして、配偶者が死亡したときの姻族関係終了の意思表示(役所にその旨の届け出をします)によって親族関係は終了となります。

 民法には、直系血族、同居の親族は助け合え、との条文がありますが、法的拘束力はないと理解されています。