ほっと一息

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2023.10.08

トラブル回避の基礎知識 ファイル共有ソフトの利用にはリスクも

JA広報通信2023年9月号

国民生活センター相談情報部●黒澤夏子

 

 ファイル共有ソフトに関する相談が寄せられています

【事例1】パソコンで見たいアダルト動画を見つけた。ファイル共有ソフトを使えば動画をダウンロードできると分かり、ソフトをインストール後、動画をダウンロードした。後日、動画制作会社の弁護士から「あなたは違法に動画をアップロードした。和解金50万円を払うように」という文書が届いた。動画は見たがアップロードをした覚えはない。

【事例2】パソコンを家族と共有している。ある日、契約中のプロバイダー業者から私宛てに、「『発信者情報開示に係る意見照会書』(例:動画制作会社などから、動画を違法にアップロードした発信者の情報開示を求める文書)が届いたので契約者であるあなたの個人情報を伝えてよいか」との文書が届いたが、身に覚えがない。

 

 

 ファイル共有ソフトとは動画など、大容量ファイルを高速で共有(ダウンロード・アップロード)できるソフトのことをいいます。便利な一方で、中にはダウンロードと同時にアップロードが開始されるソフトがあります。
 アニメ動画などの著作物は動画の制作会社などに著作権があります。著作権者らに無断でアップロードされているものを、それと知りながらダウンロードする行為は、私的使用目的であっても著作権(複製権)侵害に当たる恐れがあります。また著作権者らに無断でアップロードする行為は、そのつもりがなくても著作権(公衆送信権)侵害に当たる恐れがあり、著作権侵害は著作権者から損害賠償請求されたり、刑事罰に問われたりする可能性があります。
 事例のような文書が届いた場合は、自分に心当たりがなくてもパソコンを共有している家族らに確認し、事業者への対応が分からない場合は消費生活センターに相談しましょう。ファイル共有ソフトの仕組みやリスクを十分に理解し、できる限り利用を控えるようにしましょう。