ほっと一息

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2023.10.02

なくそう食品ロス 食欲の秋 食品ロス削減にも挑戦しよう

JA広報通信2023年9月号

食品ロス問題ジャーナリスト●井出留美

 10月といえば食欲の秋。食にまつわる行事が多い月です。10月16日は国連の定めた世界食料デー。10月30日は日本政府が定めた食品ロス削減の日。10月の1カ月間は「世界食料デー」月間で、食品ロス削減月間でもあります。

■ なぜ10月30日が食品ロス削減の日なの?

 宴会の最初の30分間と最後の10分間は席で食事を食べ切りましょうという「30・10(さんまる いちまる)運動」に由来します。30と10を逆にして10月30日が食品ロス削減の日というわけです。私が関わった食品ロス削減推進法も2019年10月1日に施行されました。
 農林水産省は10月30日を「全国一斉商慣習見直しの日」としています。賞味期限を延ばした食品メーカーや、賞味期限を年月日表示から年月表示に変えた企業、食品ロスを生み出す商慣習「3分の1ルール」(賞味期間の3分の1までに納品できなかった商品は廃棄するルール)の納品期限や販売期限を緩和したコンビニやスーパーを募集し、農林水産省のホームページで社名を公表するという日です。

■ 家庭での食品ロスを減らすには

 家庭での食品ロスを減らす合言葉は「買い物前が勝負」。買い物前に冷蔵庫や食品庫を確認し、どんな食べ物がどれくらいあって、賞味期限はいつかを確認します。それを基に買い物メモを作ってから出かけましょう。同じ物を重複して買うことも防げます。
 買い物中にできることは「てまえどり」。期限までに食べ切れそうなら賞味期限や消費期限の近づいた物、商品棚の手前の物から買っていきましょう。奥から取ると、手前の物が売れ残り、店が処理費用を負担するだけでなく、私たちが納めた税金も使って売れ残り食品が焼却処分される場合も多いのです。無理のない範囲で「てまえどり」をしてみましょう。

 

食品ロス問題ジャーナリスト 井出 留美(いで るみ)


株式会社office3.11代表取締役。博士(栄養学/女子栄養大学大学院)修士(農学/東京大学大学院農学生命科学研究科)。『食べものが足りない!』『SDGs時代の食べ方』『捨てないパン屋の挑戦』など著書多数。