ほっと一息

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2023.09.21

私の食育日記 ビタミンAで風邪に負けない体を目指す

JA広報通信2023年9月号

食育インストラクター●岡村麻純

 先日、小学校の栄養教諭の方のお話を聞く機会がありました。給食は、基本的には子どもが1日に必要な栄養の3分の1が摂取できるように作られますが、家庭で不足しがちな栄養素は3分の1より多くなるように考えてくれているそうです。そこで挙げられたのが、カルシウムとビタミンAです。カルシウムは子どもの成長に必要な栄養素としてたびたび挙げられ、意識されている家庭も多いかと思います。では、もう一つのビタミンAとは、どんな栄養素でしょうか。

 ビタミンAは皮膚や粘膜を強くする役割があるため、感染症などの抵抗力を高めるとされています。また、目の粘膜にも必須な栄養で不足すると夜盲症や粘膜乾燥症のリスクがあります。ビタミンAは肝臓での貯蔵ができるため、摂取しないとすぐに欠乏症になるわけではありませんが、体内では生成できないので、食事から必要量を摂取していかなければなりません。

 ビタミンAはウナギやレバーに多く含まれる動物性の物と、プロビタミンAと呼ばれるニンジンやカボチャに多く含まれる植物性の物があります。不足しがちなビタミンAですが、実はビタミンAは過剰摂取によっても体調不良が起きる栄養素です。しかし、過剰摂取の主な原因はサプリメントやレバーなどの動物性ビタミンAによるもので、植物性のプロビタミンAは体内で必要な分だけビタミンAに変化するため、たくさん取っても過剰摂取の心配はありません。

 そのプロビタミンAを多く含むのはニンジン、カボチャ、ブロッコリーなどの緑黄色野菜です。子どもが食べないからと出す量が減りがちな野菜ですが、風邪に負けない体づくりのためぜひ意識して献立に取り入れてほしいと思います。ビタミンAは油に溶けやすい性質で、油脂と共に取ると吸収率が向上するので、ツナやポン酢、みそなど、子どもの好みの味の炒め物にしてみるのもお勧めです。

 

岡村 麻純(おかむら ますみ) 食育インストラクター

 

お茶の水女子大学食物科学講座卒業
大学では食育をテーマに研究
男女2児の母