まんまキッズスクール

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みんなで実践! 食育のはなし 実りの季節に

JA広報通信2009年9月号

食育・料理研究家●坂本廣子

 

 さまざまな食材が実り、楽しめる秋がやって来ました。季節の移り変わりを感じながら、旬の食べ物を味わうのは楽しいものですね。

 そして、あちこちで実りに感謝する祭りが開かれる時期でもあります。

 長い歴史のある地域の祭りは、伝承しなければならない事柄を、祭りとして表現しているように思えます。また、土に根差して生きる日本の祭りは、自然という神への祈りを捧げるとともに、参加する人と人とのつながりを確認する場ともいえます。祭りによって、地域の力としての人間関係がはぐくまれるのです。

 「村の鎮守の神様の~」という唱歌がありますが、果たして今の子どもたちには意味が分かるでしょうか。歌われていることを実際に体験していないと、何のことか理解できないかもしれません。祭りを伝えるということは、体験させることから始まります。小さな子どものころに祭りに参加した記憶をしっかりと持たせてあげてください。

 「でも、少子化の時代で、地域に子どもが少ないんだよ」と言われるかもしれません。ならば、都会の子どもに祭りに来てもらえる方法を考えてみましょう。都会にいるお孫さんに声を掛けて、その友達も連れてきてもらうのもいいでしょう。

 ほかにも、都会の子ども会に公募をして来てもらうなど、いろいろな方法が考えられます。そのときには、ぜひ祭りの行事食も体験させてあげましょう。食の伝承も大切な体験の一つだからです。

 伝承を途絶えさせないためには、人から人へ、体験の記憶を伝えておきたいもの。祭りの御膳を作り、祭壇へと祭る経過をビデオなどで撮影し、一部始終を伝えていく方法もあります。

 貴重な日本の文化として、祭りと行事食を伝えるように努めていきましょう。