ほっと一息

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2023.07.30

資産管理の法律ガイド 民法等改正(令和3年)について その14

JA広報通信2023年7月号

JA全中・JAまちづくり情報センター 顧問弁護士●草薙一郎

 

 今回はその他の不動産登記の改正法について説明します。

 前回、相続人が相続などで不動産を取得したときは、原則として3年以内に相続登記の申請の義務が課されることになる旨の説明をしました。

 しかし、被相続人の不動産全てを相続人が知っているとは限りません。近くの場所の不動産なら分かるかもしれませんが、遠方のものは知らないこともあります。それでも3年以内に登記申請をしろ、と言われても、無理なケースも多いと思います。

 そこで、法律を改正して相続人において相続対象不動産を把握するため、登記官において特定の被相続人が所有者として登記されている不動産を一覧にリスト化し、証明する制度が新設されます。相続人から被相続人の不動産リストの問い合わせがあれば、証明書を交付することになります。

 また、所有名義人が死亡したことを登記官が把握して、登記に反映できる制度も新設されます。具体的には、住基ネットからの情報を登記官が入手して、登記に反映することになります。

 その他、所有者の住所変更などがあったときは、その変更の日から2年以内に変更登記申請を義務付けることとなり、これを正当な理由なく怠ると、5万円以下の過料に処せられます。この制度は令和8(2026)年4月までには義務化になります。

 なお、本人からの申し出があると、登記官が定期的に住基ネットに照会して、住所変更があると職権で変更登記を付けることになります。法人の場合は法務局で法人住所を把握しているので、変更があると職権で住所変更登記をすることになります。

 次回は、相続土地の国庫帰属について説明します。