きくちのまんま新聞
2024.08.15
堆肥効率化に全国で初めての試み 農研機構 JA菊池PPFFボイラー実演会
JA菊池と農研機構は8月2日、効率的なペレット堆肥の製造に向け、全国初の低コスト・短時間で堆肥の乾燥ができるシステムの実演会を熊本県合志市で開きました。再生資源燃料(RPF)を使うボイラーを導入し、これまで3カ月以上かかっていた堆肥の水分調整を数日に短縮できます。製造速度を向上させ、広域での耕畜連携を後押ししていきます。
全国で偏在する堆肥を広域で流通させるには、持ち運びや散布の作業性に優れるペレット化が重要になります。JAは、牛ふんを原料にペレット堆肥を製造していますが、堆肥の水分調整に時間がかかることが課題になっています。
この課題の解決のため、2022年に農研機構や同JA、東京大学などが共同でコンソーシアムを立ち上げて実証を進めてきました。実演したシステムでは、ハウス内専用レーンを設けて堆肥を乾燥し、ボイラーで温めた温水を使い、レーン下の放熱器から温風を発生させて攪拌しながら乾かします。
水分をペレット化に適した30%以下に調整する行程は、従来のハウス内での天日乾燥で約3カ月かかるところを1日に短縮。従来の通風乾燥で約1週間かかっている仕上げ乾燥の工程も短縮できる見込みで、今後実証を進める中で効果を計測していきます。
燃料には、再生利用できない古紙や廃木材などを混合し加熱・成型したRPFを使う。化石燃料より安価で、燃焼時の環境負荷も低減できます。堆肥の水分測定には、低コストな堆肥埋込み式を使います。
実演会には、JA関係者や九州農政局など約44人が参加。JAの東哲哉組合長は「本システムにより、地域の持続可能な農業・食料システムの構築に良い効果をもたらすことを期待する。」とあいさつ。農研機構九州沖縄農業研究センター田中章浩氏は「地域の畜産・酪農家が抱える堆肥処理問題に実効性のある解決策として取り組んでいきたい」と話しました。